【日本の主婦が教える】「塵も積もれば山となる」は悪い意味でも本当だった!?人生を変える「マイクロ習慣」の魔法

 なぜか毎日が忙しい…その正体は「あとでやる」という名の小さな塵

みなさん、こんにちは!日本の地方都市で、夫と二人の子供と暮らしている主婦です。

日本は今、季節の変わり目で、朝晩の空気が少しひんやりとしてきました。温かいお茶が美味しい季節になると、なんだかホッとしますよね。

さて、突然ですが質問です。

今朝、目覚まし時計が鳴った瞬間、あなたはすぐに起き上がれましたか?それとも、「あと5分だけ…」とスヌーズボタンを押してしまいましたか?

実は、私にとってこの「スヌーズボタン」こそが、長年の宿敵でした。

日本の朝は、主婦にとってまさに戦場です。夫と子供たちのお弁当(Bento)を作り、朝食を用意し、洗濯機を回し、そして何より大事なミッション――「ゴミ出し」があります。

日本に住んだことがある方ならご存知かもしれませんが、日本のゴミ収集のルールは地域によっては非常に厳格です。「燃えるゴミ」は火曜日と金曜日、「プラごみ」は水曜日、と決まっていて、朝の8時までに出さないと回収車が行ってしまいます。もし出し忘れたら?次の収集日まで、臭いの出る生ゴミと共に狭い家の中で過ごさなければならないのです。これはもう、恐怖以外の何物でもありません。

ある日の朝のことです。

いつものように「あと5分…いや、あと3分」とスヌーズボタンを2回押してしまいました。たった10分程度の遅れです。でも、この「たった10分」が、その日一日の私の人生を狂わせることになりました。

慌てて飛び起きた私は、お弁当のおかずを一品減らす羽目になり(子供にあとで文句を言われました)、洗濯物を干す時間がなくなり部屋干しに。そして極めつけは、玄関を出た瞬間に目の前を通り過ぎていくゴミ収集車……。

手には重たいゴミ袋。呆然と立ち尽くす私。

「ああ、なんて自分はダメなんだろう」

ゴミ袋を持って家に戻り、玄関(Genkan)にそれを置いたとき、強烈な自己嫌悪に襲われました。

日本のことわざに**「塵(ちり)も積もれば山となる」**という言葉があります。

これは本来、「ごくわずかなものであっても、数多く積み重なれば高大な山となる」という意味で、コツコツ努力することの大切さを説くポジティブな言葉として使われます。「毎日少しずつ貯金をすれば、いつか大きな額になるよ」といった具合に。

でも、その朝、私は気づいてしまったのです。

**「これ、悪い習慣にも当てはまるんじゃない?」**と。

スヌーズボタンを押した「一瞬の迷い」。

脱いだ服をソファにポンと置いた「一瞬の横着」。

食後の食器を水につけたままにした「一瞬の先送り」。

これらは一つ一つ見れば、本当に些細な、取るに足らないことです。誰にでも覚えがあるでしょう。

でも、この「見えないほどの小さな悪い習慣(塵)」が積み重なった結果が、「ゴミを出せなかった」「家がなんとなく散らかっている」「常に何かに追われている」という、私のストレスの巨大な山(山)になっていたのです。

私たちはよく、人生を変えるためには「大きな決断」や「劇的な変化」が必要だと思い込んでいます。

「明日から毎朝5時に起きてランニングをするぞ!」とか、「家中の断捨離を一気にするぞ!」といったような。

でも、日本の伝統的な考え方や、丁寧な暮らしをしている方々を見ていると、どうやらそうではないらしいのです。

例えば、日本の茶道や武道には「所作(Shosa)」という考え方があります。立ち居振る舞いの美しさのことですが、あれは一足飛びに身につくものではありません。靴を揃える、襖(ふすま)を丁寧に閉める、お辞儀の角度を意識する。そういった「意識すらしないような小さな動作」の連続が、あの凛とした美しい姿を作っています。

逆に言えば、私の生活がなんとなく雑然としていて、いつも時間が足りず、イライラしているのは、性格のせいでも、能力のせいでもありませんでした。

単に、**「日常に潜む、極小のボトルネック」**を見過ごしていただけだったのです。

「スヌーズを一度だけ押す」

この行動が、私の脳に「自分との約束を破ってもいい」「嫌なことは先送りしてもいい」というシグナルを送っていたとしたら?

それが、仕事のメール返信の遅れや、夕飯の献立が決まらない優柔不断さに繋がっているとしたら?

そう考えたとき、私はゾッとしました。

私が戦うべき相手は、大きな問題ではなく、この目に見えないほど小さな「マイクロな悪習慣」だったのです。

そこで私は、海外のライフハック本や心理学の記事を読み漁り、日本の生活様式に合うようにアレンジを試みました。

そこで出会ったのが、今回ご紹介する**「マイクロ・ハビット(小さな習慣)」**という考え方です。

これは、意志の力(Willpower)に頼らず、まるで呼吸をするかのように自然に生活を整えていく魔法のようなメソッドです。

「頑張る」のが美徳とされる日本社会で、あえて「頑張らない」ことで生活を変えていく。

次章からは、私が実際に試して効果のあった具体的な方法、特に「2分ルール」について、日本の「カイゼン(Kaizen)」精神と絡めてお話ししていきます。

「2分ルール」は現代の「カイゼン」!家事と仕事のボトルネックを解消する技術

ゴミ出し事件からの生還、そして「2分ルール」との出会い

あの「ゴミ出し失敗事件」の朝、私は自己嫌悪に浸りながら冷めたコーヒーを飲んでいました。

キッチンのシンクには、朝食で使ったフライパンや子供たちの食べ残しがついたお皿が積み上がっています。「あとで洗えばいいや」と思って水につけておいたものです。

リビングのソファには、昨日取り込んだ洗濯物が山になっています。「あとで畳めばいいや」と思って放置したものです。

ダイニングテーブルの上には、学校からのプリントや郵便物が散乱しています。「あとで確認すればいいや」と思ってとりあえず置いたものです。

家の中を見渡したとき、あることに気づきました。

私の家を散らかし、私の頭の中をパンクさせているのは、巨大な岩のようなタスクではないのです。

そこにあるのは、無数の**「あとでやる(Later)」**という付箋がついた、小さな小さな「未完了のタスク」たちでした。

「これを片付けるには、一日中掃除をしなきゃいけないわ…」

そう思うだけで気が重くなり、結局スマートフォンを取り出してSNSを見てしまう。これが私の悪いパターンでした。

そんな時、以前読んだ海外の生産性向上メソッド「GTD(Getting Things Done)」の中にあった、あるシンプルなルールを思い出したのです。

それが、**「2分ルール(The 2-Minute Rule)」**です。

ルールは非常にシンプルです。

「もし、そのタスクが2分以内に終わるなら、リストに書いたり後回しにしたりせず、今すぐやる(Do it now)」

たったこれだけです。

最初は半信半疑でした。「そんなことで生活が変わるなら苦労しないわよ」と。

でも、あのゴミ出しの失敗で懲りていた私は、藁にもすがる思いで、このルールを日本の主婦の生活に取り入れてみることにしたのです。

日本の玄関(Genkan)と「魔法の2分間」

まず試したのが、日本の家の顔とも言える「玄関(Genkan)」です。

日本では家の中で靴を脱ぎますが、夕方、子供たちが帰宅すると、玄関は泥だらけのスニーカーや脱ぎ捨てられた靴で溢れかえります。

これまでは「夜、みんなが寝た後にまとめて揃えればいいや」と思っていました。でも、その「散らかった光景」を目にするたびに、無意識のうちに「あぁ、汚いな」「片付けなきゃな」という小さなストレスを感じていたのです。

そこで「2分ルール」の発動です。

子供が帰ってきて靴を脱いだ瞬間、あるいは私が買い物から帰って靴を脱いだ瞬間。

靴を揃えて下駄箱(Shoe cupboard)に入れる。これにかかる時間は?

実際に計ってみたら、なんと「15秒」でした。2分どころか、カップラーメンのお湯が沸くより早いのです。

郵便ポスト(Mailbox)もそうです。

日本のポストには、ピザ屋さんのチラシや不動産の広告など、毎日たくさんの紙類が投函されます。

これまでは、それらをまとめてダイニングテーブルの上に「ドン」と置いていました。これが「テーブルの上がなんとなく散らかっている」主犯格です。そして、その山の中から重要な請求書や学校の手紙を探し出すのに、後で10分も20分もかかっていたのです。

ここでも「2分ルール」です。

帰宅して玄関に入ったその足で、手にした郵便物を選別します。

不要なチラシはその場ですぐにゴミ箱へ(玄関に小さなゴミ箱を設置しました)。

重要な手紙だけを持ってリビングへ行き、所定のファイルに入れる。

これにかかる時間は?「1分」です。

驚いたことに、この「たった数十秒〜1分」の行動を「今すぐ」やるだけで、夕方のあのカオスのような忙しさが嘘のように消え去ったのです。

「あとでやらなきゃ」という借金(Debt)を抱えずに済むことの、なんと清々しいことか!

家事は「溜める」から大変になる

この経験から、私は日本の家事における「ある真実」に気づきました。

それは、**「家事は、溜めるから『仕事』になる」**ということです。

食べた直後のお茶碗を洗うのは30秒で終わります。汚れもすぐに落ちます。

でも、半日放置してカピカピになったご飯粒がついたお茶碗を洗うのは、水につけ置きし、ゴシゴシと擦り、場合によっては漂白もしなければなりません。時間も労力も倍増します。

脱いだばかりの服をハンガーにかけるのは10秒です。

でも、ソファに積み上げてシワになった服を、後からアイロンがけして畳むのは20分かかります。

私たちはよく「まとめてやった方が効率的だ」と自分に言い訳をします。

でも、それは工場のライン作業のような場合の話であって、日々の暮らしにおいては逆効果なことが多いのです。

「あとでまとめて」は、未来の自分に利子をつけて借金を押し付けているのと同じです。

2分ルールは、この「家事の借金地獄」から私を救い出してくれました。

脳のメモリを解放する「禅(Zen)」の教え

この2分ルールの効果は、単に部屋が片付くことだけではありませんでした。

もっと劇的だったのは、「脳の疲れ」が激減したことです。

心理学的に言うと、人間は「未完了のタスク」を無意識のうちにずっと気にかけ続ける性質があるそうです(ツァイガルニク効果といいます)。

「あ、洗剤買わなきゃ」「あ、メール返さなきゃ」「あ、洗濯物畳まなきゃ」…。

これらは一つ一つは小さなことですが、頭の中でずっとアプリが起動したままになっているようなものです。スマートフォンのバックグラウンドでたくさんのアプリが開いていると、電池の減りが早くなりますよね?

人間の脳も同じで、この「小さな気に掛かり」が、私たちのエネルギー(気力)を枯渇させていたのです。

2分ルールで即座に処理してしまうということは、この「バックグラウンドアプリ」をこまめに終了させる作業と同じです。

頭の中が常にクリアな状態。

これは、日本の「禅(Zen)」の考え方にも通じるものがあります。

禅寺の修行僧たちは、朝起きたら布団を畳み、食べ終わったら器を清め、使った道具はすぐに元の場所に戻します。

彼らは「あとでまとめて掃除しよう」とは考えません。

**「今、ここ」**での行いを完結させることで、常に心を整えているのです。

私がやっているのは、ただ郵便物を捨てたり皿を洗ったりしているだけです。

でも、その感覚は、まるで心を磨いているかのようでした。

「やるべきこと」が目の前から消え、頭の中から消える。その瞬間に生まれる「余白」。

この余白こそが、忙しい現代の主婦に最も必要なものではないでしょうか。

日本の「カイゼン(Kaizen)」とマイクロ習慣

世界的に有名な日本の言葉に**「カイゼン(Kaizen)」**があります。

主にトヨタ生産方式などのビジネスの現場で使われる言葉ですが、これは「現状に満足せず、常により良くしようとする継続的な改善」を意味します。

カイゼンの真髄は、巨額の投資をして機械を導入することではありません。

作業者の足元にあるゴミを拾う、道具の配置を数センチ変える、無駄な動き(Muda)をなくす。

そういった「微細な見直し」の積み重ねが、世界一の品質を生み出しています。

私は、この「2分ルール」こそが、家庭内における最強の「カイゼン」だと確信しました。

主婦の仕事は、名もなき家事の連続です。

誰も褒めてくれないし、給料も出ない。だからこそ、いかに「無駄な労力」と「精神的な負担」を減らすかが、生活の質(QOL)に直結します。

「スヌーズを押して二度寝する」という悪習慣を断ち切るために、私は目覚まし時計をベッドから2メートル離れた場所に置くことにしました。

止めるためには起き上がらなければなりません。起き上がってしまえば、もう「2分ルール」の領域です。

「ついでに顔を洗おう(2分以内)」「ついでに一杯の水を飲もう(2分以内)」。

こうして、かつて「塵も積もれば山となる」悪い習慣で埋もれていた私の生活は、2分ルールという小さな箒(ほうき)によって、少しずつ、でも確実に掃き清められていきました。

でも、ここで一つの疑問が浮かびます。

「2分で終わらないこと、例えば30分の運動とか、1時間の勉強はどうすればいいの?」

「常に動き回っていて、疲れてしまわない?」

ご安心ください。

日本人には、無理なく物事を継続させるための、もう一つの素晴らしい知恵があります。

次章では、2分ルールで整った土台の上に、新しい習慣を積み上げていくテクニック、**「ハビット・スタッキング(習慣の積み上げ)」**についてお話しします。

これは、頑張り屋さんのあなたにこそ知ってほしい、「頑張らずに」理想の自分に近づく方法です。

頑張らなくていい。「ハビット・スタッキング」で無意識を味方につける日本の知恵

日本人は「頑張る(Ganbaru)」が好きすぎる?

「2分ルール」のおかげで、私の家から「散らかった郵便物」や「シンクの洗い物」という景色は消えました。

でも、人間というのは欲深い生き物です。マイナスがゼロになると、今度はプラスが欲しくなります。

「もっと健康のために運動したい」

「英語の勉強を始めたい」

「寝る前に読書をして教養を高めたい」

あなたも新年(New Year)に、こんな目標を立てたことはありませんか?

そして、2月になる頃にはその目標がどこかへ消えてしまった経験はありませんか?

日本では、飽きっぽくて長続きしない人のことを**「三日坊主(Mikkabozu)」**と呼びます。直訳すると「Three-day Monk」。修行僧になろうと決意して寺に入ったけれど、修行の厳しさに耐えられず3日で還俗してしまった人のことです。

私も、自慢じゃありませんが筋金入りの三日坊主です。

ヨガマットを買っては部屋の隅で埃をかぶらせ、英会話のテキストを買っては最初の数ページで満足して本棚の肥やしにしてきました。

なぜ私たちは続かないのでしょうか?

それは、私たちが「意志の力(Willpower)」を過信しているからです。

日本では美徳とされる「頑張る(Ganbaru)」精神ですが、実は習慣形成において、これほど当てにならないものはありません。

仕事で疲れて帰ってきた夜に、「さあ、頑張って30分運動しよう!」と決意する。

これは、電池切れのスマートフォンで動画を見ようとするようなものです。無理なんです。

意志の力は筋肉と同じで、朝起きた時が一番元気で、夜になるにつれて消耗していきます。

では、どうすれば「頑張らずに」新しいことを始められるのか。

そこで登場するのが、今回の最重要キーワード、**「ハビット・スタッキング(習慣の積み上げ)」**です。

脳を騙すテクニック「〜したら、〜する」

「ハビット・スタッキング」の考え方は驚くほどシンプルです。

「すでに定着している毎日の習慣(Current Habit)の直後に、新しい習慣(New Habit)をくっつける」

これだけです。

公式にするとこうなります。

【 [現在の習慣] をしたら、[新しい習慣] をする 】

私たちの脳は、新しいことを始めるのを嫌がります。エネルギーを使うからです。

でも、すでに自動化された行動(歯磨きやコーヒーを淹れるなど)は、脳のハイウェイのようなものです。そこに新しい行動を連結車両のように繋げてしまえば、エンジン(意志の力)を使わずに、スルスルと実行できてしまうのです。

私はこれを、日本の鉄道(Trains)に例えて考えています。

日本の電車は時間に正確で、ダイヤ通りに動きます。

新しい習慣を身につけるために、わざわざ新しい線路を敷いて、新しい時刻表を作る必要はありません。

すでに毎日確実に走っている「既存の列車」の後ろに、ポポンと新しい車両を連結させるだけでいいのです。

私の実践例:日本の日常に溶け込ませる

では、具体的に私がどうやってこのテクニックを生活に取り入れたか、日本の主婦のリアルな日常(Routine)でご紹介しましょう。

1. 【朝のコーヒー】+【1分間の感謝日記】

私は毎朝、必ずキッチンでお湯を沸かしてコーヒーを淹れます。これは何年も続いている、無意識の行動です。

そこで、この強力な習慣に「日記を書く」という新しい習慣をスタッキングしました。

  • 以前の私:「夜寝る前に日記を書こう」→ 疲れて寝落ちして失敗。
  • 今の私:「コーヒーを淹れて、カップをテーブルに置いたら(トリガー)、ノートを開いて3行だけ書く」。

コーヒーの香りがすると、脳が勝手に「あ、ノートを開く時間だ」と認識します。頑張る必要はありません。ただの流れ作業です。

2. 【お風呂の給湯ボタン】+【スクワット10回】

日本人はお風呂(Ofuro)が大好きです。私も毎晩必ずお湯を溜めます。

給湯パネルの「自動」ボタンを押す。この動作に運動をスタッキングしました。

  • ルール:「お風呂のボタンを押したら、お湯が沸くまでの間にキッチンでスクワットを10回する」。

わざわざジムに行く服に着替える必要もありません。お湯が沸くのを待つ数分の隙間時間です。

たった10回ですが、毎日やれば1ヶ月で300回、1年で3600回です。「塵も積もれば山となる」の良いバージョンです。

3. 【ドライヤー】+【深呼吸と自分のケア】

お風呂上がりに髪を乾かす時間。これも毎日のルーティンです。

これまでは、髪を乾かしながら「明日の子供のお弁当は何にしよう…」と心配事をしていました。

でも今は、ハビット・スタッキングで「マインドフルネス」の時間に変えました。

  • ルール:「ドライヤーのスイッチを入れたら、鏡の中の自分を見て、今日一日頑張った自分を褒めながら深呼吸する」。

「今日も家族のためにありがとう、私」。そう心の中で唱えるだけです。

これだけで、自己肯定感が驚くほど上がりました。

日本の「型(Kata)」文化と自動化の美学

この「ハビット・スタッキング」を実践していて気づいたのですが、これは日本文化の根底にある**「型(Kata)」**の考え方に非常によく似ています。

武道(柔道や剣道)や茶道(Sado)、華道(Kado)には、すべて決まった「型」があります。

最初は意味がわからなくても、とにかく決められた手順通りに体を動かす。

「お辞儀をして、右足から入り、扇子を前に置く…」

そうやって反復練習をして型を身体に染み込ませると、やがて頭で考えなくても身体が勝手に動き、そこに心が宿るようになります。

これを「守破離(Shu-Ha-Ri)」と言ったりしますが、要するに**「形式(ルーティン)が先で、心(やる気)は後からついてくる」**という教えです。

私たちはよく「やる気が出たらやる」と言いますが、脳科学的にも日本的感覚でも、順序が逆なのです。

「やり始めたら(型に入ったら)、やる気が出る」のです。

ハビット・スタッキングは、自分だけの「人生の型」を作ることです。

「朝起きたら、水を飲む」

「靴を履いたら、空を見上げる」

「電車に乗ったら、単語帳を開く」

これらは一つ一つは小さな動作ですが、連結させることで、一日全体が美しい「所作」のように流れるようになります。

そこには「頑張る」という悲壮感はありません。

あるのは、淡々と、しかし確実に前に進んでいく**「静かな規律(Discipline)」**だけです。

「無意識」という最強のパートナー

こうして生活の中に小さな良い習慣が増えてくると、面白い変化が起きました。

「決断疲れ(Decision Fatigue)」がなくなったのです。

「今日、運動しようかな、どうしようかな…」

「いつ日記を書こうかな…」

そうやって迷うこと自体が、実は脳にとって一番のストレスでした。

ハビット・スタッキングによって行動が「自動化」されると、迷う時間が消滅します。

スティーブ・ジョブズが毎日同じ服を着ていたのは有名な話ですが、あれも「服を選ぶ」という決断エネルギーを節約するためですよね。

私たち主婦も同じです。献立や育児で毎日何百回もの決断を迫られています。だからこそ、自分自身のケアや成長のための行動は、極限まで自動化してあげる必要があるのです。

私は、このメソッドのおかげで、以前よりもたくさんのことをこなしているのに、以前よりも疲れを感じなくなりました。

それはまるで、熟練の職人が無駄のない動きで美しい工芸品を作り上げるような、あるいは、老舗の旅館の女将が流れるような動きでお客様をもてなすような、そんな感覚に近いかもしれません。

「努力」を「習慣」に置き換える。

「気合」を「仕組み」に置き換える。

これが、忙しい海外の生活の中で、自分らしさを失わずに輝き続けるための、日本流・生活の知恵(Wisdom of Life)なのです。

さて、ここまで「2分ルール(マイナスをゼロに)」と「ハビット・スタッキング(ゼロをプラスに)」についてお話ししてきました。

この小さな習慣の積み重ねの先には、一体どんな景色が待っているのでしょうか?

単に部屋が綺麗になるとか、少し痩せるとか、そういう目に見える変化だけではありません。

最後に、これらを通して私が手に入れた本当の宝物――「人生の主導権を取り戻す」という感覚についてお話しして、このブログを締めくくりたいと思います。

小さな習慣の先にあるもの。心に余白を作る「整え」の人生術

部屋が片付くと、なぜか「運」が良くなる?

ここまで、日本の主婦の視点から「マイクロ習慣」についてお話ししてきました。

「2分ルール」で目の前の小さなゴミを片付け、「ハビット・スタッキング」で良い習慣を自動化する。

これを数ヶ月続けてみた私の生活に、一体何が起きたと思いますか?

正直に言います。

宝くじには当たりませんでしたし、突然モデルのように痩せたりもしませんでした(笑)。

劇的な奇跡は起きませんでした。

でも、もっと静かで、もっと深い変化が訪れました。

それは、**「自分を責める時間がなくなった」**ことです。

以前の私は、散らかった部屋を見るたびに「あぁ、また出来なかった」「私はだらしない」と、無意識に自分自身を裁判にかけていました。

1日に何十回も自分に「有罪判決」を下していたのです。これでは、どんなにポジティブ思考を心がけても、心が疲弊していくのは当たり前ですよね。

しかし、マイクロ習慣が定着してくると、家の中の景色が変わります。

玄関の靴が揃っている。シンクが輝いている。読みたかった本が少しずつ進んでいる。

それらを目にするたびに、今度は**「私、なかなかやるじゃない」**という、小さな承認スタンプが心に押されていくのです。

日本には**「整う(Totonou)」**という言葉があります。

最近ではサウナ用語として有名になりましたが、本来は「調和が取れる」「あるべき状態に収まる」という意味です。

部屋が整い、行動が整うと、不思議と心も「整って」きます。

心が整うと、イライラが減り、家族への言葉遣いが優しくなります。すると家庭内の空気が良くなり、結果として「なんだか最近、いいこと(Lucky things)が多いな」と感じるようになる。

風水(Feng Shui)のような話に聞こえるかもしれませんが、これは単に、心のノイズが消えて、目の前の小さな幸せに気づけるようになっただけなのだと思います。

自分自身への「おもてなし(Omotenashi)」

2020年の東京オリンピック招致で世界的に有名になった言葉に**「おもてなし(Omotenashi)」**があります。

見返りを求めない、心のこもったホスピタリティのことです。

私たち日本人は、お客様に対しては掃除をし、花を活け、最高のお茶を出して「おもてなし」をします。

でも、一番長く一緒にいるパートナーである「自分自身」に対してはどうでしょうか?

散らかった部屋、コンビニの袋のまま食べる食事、後回しにされたケア…。

これでは、自分自身を粗末なゲストとして扱っているのと同じです。

私がマイクロ習慣を通じて学んだ最大の教訓はこれです。

「良い習慣とは、未来の自分への『おもてなし』である」

夜、眠い目をこすりながら2分かけてキッチンをリセットするのは、誰のためでもありません。

明日の朝、起きてくる自分へのプレゼントです。

ピカピカのキッチンでコーヒーを淹れる時の「あぁ、気持ちいい!」という感覚。

その喜びを用意してあげられるのは、今の私だけなのです。

「面倒くさい」という感情は、「今の楽」を選ぼうとする心の声です。

でも、小さな習慣を積み重ねることは、「未来の自分の笑顔」を選ぶという、最高の自愛(Self-love)の行為なのです。

「Ikigai(生きがい)」は日常の些細なことの中に

海外の方からよく**「Ikigai(生きがい)」**について聞かれることがあります。

多くの人は、Ikigaiを「人生の壮大な目的」や「キャリアの成功」だと思っているようです。

もちろんそれも間違いではありません。

でも、私たち普通の日本の主婦にとってのIkigaiは、もっとささやかで、日常的なものです。

朝の澄んだ空気の中で飲む一杯のお茶。

お弁当箱が空っぽで返ってきた時の喜び。

お気に入りの入浴剤を入れたお風呂に浸かる瞬間。

こうした「小さな喜び」を感じられることこそが、生きがいなのだと思います。

しかし、頭の中が「やらなきゃいけないこと」でパンクしていた頃の私は、こうした幸せを見落としていました。

常に何かに追われ、心ここにあらずでした。

マイクロ習慣によって、生活の雑音(Noise)を取り除いたことで、私はようやくこの「日常のIkigai」を取り戻すことができました。

壮大な夢を叶えることだけが人生ではありません。

今日という一日を、丁寧に、機嫌よく過ごすこと。

それが結果として、豊かな人生(Rich Life)を織り上げていくのだと、今の私は確信しています。

さあ、最初の「2分」を始めよう

ここまで長い間、私の話にお付き合いいただき、本当にありがとうございました(Arigato gozaimasu)。

もし、あなたが今、「今の自分を変えたい」「もっと充実した毎日を送りたい」と思っているなら。

どうか、大きな目標を立てないでください。

明日から1時間早く起きようとか、毎日10キロ走ろうとか、そんな「修行」のようなことはしなくていいのです。

その代わりに、ほんの少しだけ、視点を下げてみてください。

足元にある「塵(ちり)」を見つけてください。

  • 読み終えたその本を、本棚に戻す(10秒)。
  • 脱いだ靴を、揃える(5秒)。
  • 明日の朝飲むマグカップを、テーブルに出しておく(30秒)。

たったそれだけです。

その小さな小さなアクションが、あなたの脳に「私は自分の人生をコントロールできる」というシグナルを送ります。

そのドミノの最初の一枚(The first domino)を倒してください。

「千里の道も一歩から(A journey of a thousand miles begins with a single step)」

これは中国の老子の言葉ですが、日本でも大切にされている格言です。

あなたの人生という素晴らしい旅が、今日の「小さな2分間」から、より美しく、より軽やかに整っていくことを、日本の空の下から心より応援しています。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう。

これから私は、2分でお風呂掃除をして、ゆっくりとお湯に浸かってこようと思います(笑)。

良い一日を!

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