沈黙は敵じゃない、それは「間(Ma)」だ! ~完璧主義を捨てる勇気~
みなさん、こんにちは!日本の片隅で、今日も今日とて家事や仕事に追われている主婦です。
さて、いきなりですが質問です。皆さんは「初デート」と聞いて、どんな感情が湧きますか?
ドキドキする期待感?それとも、「会話が続かなかったらどうしよう」「失敗したらどうしよう」という不安?
正直に言っちゃいましょう。初デートなんて、基本的には「カオス(混沌)」の始まりです。
特に海外生活をしていると、言葉の壁や文化の違いもあって、そのカオス具合は倍増しますよね。でもね、日本に住んでいる私たちだって同じなんです。ここ日本では、「空気を読む(Reading the air)」という高度なスキルが求められる社会。だからこそ、初対面の相手との「沈黙」が訪れた瞬間、まるで時が止まったかのようなパニックに陥ることがあります。
「あれ、いま私、変なこと言ったかな?」
「次の話題、天気の話しちゃったけど、もうその話3回目じゃない?」
「相手がコーヒーカップを見つめている…これは退屈のサイン!?どうしよう!」
頭の中はもう緊急警報が鳴り響いています。これを読んでいるあなたも、そんな経験ありませんか?
今回のテーマは「Survival Guide: Embracing the Chaos(カオスを受け入れるサバイバルガイド)」。
特に、最もカオスになりがちな「初デートの気まずさ」をどう乗り越えるか、そしてそこからどうやって人生を楽しむヒントを見つけるかについて、日本の主婦目線でお話ししたいと思います。
日本的な「完璧主義」の罠
まず、私たちがなぜこんなに初デートで緊張するのか。それは心のどこかに「完璧な自分を見せたい」という思いがあるからですよね。
日本には「大和撫子(Yamato Nadeshiko)」という言葉があるように、古くから「奥ゆかしく、気配りができて、完璧に振る舞う女性」が理想とされる風潮がありました。もちろん現代ではだいぶ変わってきましたが、それでも「ちゃんとしなきゃ」というプレッシャーは、DNAレベルで刻まれている気がします。
「相手に失礼があってはいけない」
「楽しい時間を提供しなきゃいけない」
これ、実は自分で自分を追い詰めているだけなんですよね。私が独身時代、婚活パーティー(日本独特の集団お見合いパーティーです)に参加した時のことを思い出します。プロフィールカードを完璧に埋め、当たり障りのない笑顔を張り付け、まるで就職面接のように挑んでいました。結果はどうだったと思います?
……全滅です(笑)。
なぜなら、そこに「私」という人間がいなかったから。完璧を演じようとすればするほど、ロボットみたいに無機質になって、相手との距離は縮まらない。カオスを避けようとして整理整頓しすぎた結果、何の面白みもない空間が出来上がってしまったんです。
「沈黙」を飼いならす:日本流の解釈
ここで、日本ならではの知恵を一つ紹介させてください。
皆さんは**「間(Ma)」**という言葉を知っていますか?
海外の方とお話しすると、「沈黙(Silence)」は埋めるべきもの、避けるべきもの、という感覚が強いように感じます。会話のキャッチボールが止まる=Awkward(気まずい)、と。
でも、日本の伝統文化(茶道や能、歌舞伎など)において、音のない時間や空間である「間」は、非常に重要な意味を持ちます。それは単なる「何もない時間」ではなく、「余韻を感じる時間」であり、「相手の心を感じ取るための空白」なんです。
初デートで会話が途切れてシーンとなった時。
これを「放送事故」と捉えるか、リッチな「間」と捉えるかで、人生の余裕が変わってきます。
私が夫と初めてデートした時も、実は結構な沈黙がありました。でも、私が焦って「えーっと、趣味は何ですか!?」と捲し立てる代わりに、ふっと息を吐いてコーヒーを一口飲んだ時、不思議と空気が緩んだんです。
「……静かですね」
と私が言ったら、彼も
「……そうですね。でも、なんかこの店のBGM、意外と選曲が渋いですね」
なんて笑って返してくれました。
もしあの時、私が沈黙を恐れて喋り続けていたら、あの穏やかな空気感は共有できなかったでしょう。
カオスを受け入れるための第一歩:自分を笑うこと
じゃあ、具体的にどうやってその「気まずさ」を乗り越えるのか。
ここでサバイバルガイドの最初のTipsです。それは**「自分自身を笑い飛ばすこと」**。
これ、最強の武器です。
例えば、緊張して水をこぼしてしまった時。「ああ、最悪だ、恥ずかしい!」と顔を真っ赤にして黙り込むのと、「やだ、私ったら緊張しすぎて手元がダンスしてました!」と笑うのとでは、その後の展開が全く違います。
日本には「愛嬌(Aikyo)」という言葉があります。これは単にニコニコしていることではなく、自分の弱さや失敗を隠さず、相手に親しみを感じさせるチャーミングさのこと。
完璧な人間よりも、ちょっとドジで、自分の失敗を「あちゃー」と笑える人の方が、相手も安心するんですよね。「あ、この人も完璧じゃないんだ。じゃあ僕もリラックスしていいんだ」って。
初デートのAwkwardness(気まずさ)は、実はお互いの「ガード」を下ろすための絶好のチャンスなんです。
「沈黙、しちゃいましたね(笑)」
「私、緊張すると早口になっちゃう癖があるんです。もし何言ってるか分からなかったら、一時停止ボタン押してくださいね」
なんて、その状況自体を実況中継しちゃうくらいのユーモアを持つこと。これがカオスを楽しむ第一歩です。
逃げ道としての「鉄板ネタ」を用意しておく
精神論だけじゃなくて、実務的なアドバイスもしておきましょうか。
いくら「間」を楽しもうと言っても、永遠に沈黙が続くのはさすがに修行僧のレベルです(笑)。
そこで、日本の主婦が教える「困った時のGo-to Topics(鉄板ネタ)」を持っておくことをお勧めします。
日本人が大好きな話題といえば「天気」と「食べ物」ですが、これだけだと浅いですよね。もう少し人間味がでる、でも重くなりすぎないトピックを用意しておくんです。
例えば:
- 「最近、一番笑った失敗談ある?」(お互いのカオスを共有する)
- 「もし明日から一週間、仕事も家事も全部禁止で自由にしていいって言われたら、まず何する?」(価値観が見える)
- 「子供の頃、勘違いして信じていたことってある?」(懐かしさと可愛げが出る)
ポイントは、正解のない質問をすること。そして、相手の答えに「へー」だけで終わらせず、「それ分かる!私もさ…」と自分のエピソードを被せていくこと(これを日本語で「相槌を打つ」以上の「共感の連鎖」と呼びたいです)。
次の章へ向けて
さて、ここまで「起」として、初デートにおけるカオス(気まずさや沈黙)は、避けるべき敵ではなく、むしろ**「人間らしい愛嬌を見せるチャンス」であり、日本的な「間」の美学**に通じるものだというお話をしてきました。
完璧なシナリオなんて、最初から存在しないんです。
日本に住む私たちも、日々満員電車に揺られ、スーパーの特売に走り、予想外の雨に降られながら生きています。そんな予測不能な日常の中でこそ、「ま、いっか(Ma-ikka / It’s okay)」と笑える強さが育まれていくのです。
次回の【承】パートでは、さらに深く踏み込んで、「予想外のハプニングが起きた時、どうやってそれを『二人の特別なストーリー』に変えていくか」。その具体的なアネクドート(逸話)と、日本人が大切にする「一期一会(Ichi-go Ichi-e)」の精神を絡めてお話ししたいと思います。
準備はいいですか? まだまだカオスの旅は始まったばかりです。
完璧なヒール靴なんて脱ぎ捨てて、一緒にこのデコボコ道を楽しんで歩きましょう!
「失敗」こそが最強のスパイス ~予測不能な展開を楽しむ技術~
完璧なシナリオなんて、ゴミ箱へポイ!
日本に住んでいると、海外の方からはよく「日本はすべてが時間通りで、整理整頓されている」と言われます。確かに、電車は秒単位で来るし、コンビニの棚はいつも美しく並んでいます。
だからこそ、私たちは無意識のうちに**「デートも段取りよく進むべきだ」**という思い込み(Expectation)を強く持ちすぎてしまうんです。
特に初デート。「予約したレストランは評価4.5以上」「夜景の見えるルートを確保」「会話のネタ帳もバッチリ」。
でもね、人生という脚本家は、そんなに親切じゃありません。
- 予約した店がまさかの臨時休業。
- 絶景スポットに行ったら、濃霧で何も見えない(これ、私の実話です)。
- 張り切って履いてきた新しい靴のヒールが折れる。
こういう時、私たちの心は「終わった…」と絶望しがちです。
でも、ここで声を大にして言いたい。
「おめでとうございます! それこそが、二人の関係が『本物』になるための招待状です!」
期待していた完璧なプランが崩れた時、そこにあるのは「演出された自分」ではなく「生の人間性」。
このカオスな状況をどうハンドリングするかで、その後の関係性が決まると言っても過言ではありません。
実録:桜吹雪と強風のピクニック事件
ここで、私がまだ夫と付き合い始めたばかりの頃の、忘れられない「失敗デート」の話をさせてください。
春の日本といえば「お花見(Hanami)」です。
私は彼に良いところを見せようと、朝早く起きて完璧なお弁当を作りました。雑誌に出てくるような、可愛らしい卵焼きや唐揚げを詰めて。場所も、桜の名所として有名な川沿いの公園をリサーチ済み。
頭の中のイメージは、ピンク色の桜の下、穏やかな日差しの中で「わあ、美味しい!料理上手だね」なんて言われるロマンチックなシーン。
しかし、現実は甘くありませんでした。
その日は「春の嵐」と呼ばれる強風の日。
公園に着いた途端、突風が吹き荒れ、私たちのレジャーシートは魔法の絨毯のように舞い上がりそうになり、それを必死で押さえる私と彼。髪はボサボサ、優雅どころか、まるで台風中継のレポーター状態です。
極めつけは、私が一生懸命作ったお弁当を開けた瞬間。
さらに強い風が吹き、砂埃とともに桜の花びらが大量におかずの上にダイブ!
「ジャリッ」
彼が食べた唐揚げは、砂の味付けがされた「砂利揚げ」になっていました。
その瞬間、私は泣きそうになりました。「せっかく準備したのに」「最悪だ」と。
完璧なデートプランは、文字通り風と共に去りぬ、です。
でも、その時彼が言ったんです。
「すごいね! これぞ本当の『桜餅』味だね(笑)。こんなワイルドな花見、初めてだよ」
その一言で、私の緊張の糸がプツンと切れました。
二人でボサボサの頭を見合わせ、砂まみれの唐揚げを見つめながら、お腹を抱えて大笑いしました。
結局、私たちは早々に撤退し、近くの安くて狭いラーメン屋に逃げ込みました。でも、そこで食べたラーメンは、どの高級フレンチよりも美味しかったし、何より「あの嵐、すごかったね」という共有体験が、私たちを一気に親密にしてくれました。
「不完全」を楽しむ日本の心:Wabi-Sabi(侘び寂び)
このエピソードから学べること。それは、日本文化の根底にある**「Wabi-Sabi(侘び寂び)」**の精神です。
海外でも有名になりつつあるこの言葉ですが、簡単に言えば「不完全なもの、未完成なもの、儚いものの中に美しさを見出す」という考え方です。
満開の桜も美しいけれど、散りゆく桜も美しい。欠けた茶碗を金で継いで(金継ぎ)、その傷跡すらもアートにしてしまう。
デートにおけるトラブルや失敗も同じです。
スムーズに進むデートは「既製品の美しさ」ですが、トラブルを二人で乗り越えたデートは「一点物の、金継ぎされた美しさ」なんです。
「期待(Expectation)」が窓から投げ捨てられた時、そこに残るのは「現実(Reality)」です。
その現実がどんなに不格好でも、泥臭くても、「これもまた味があるよね(It has flavor)」と捉えること。
これが、カオスを愛するための極意です。
サバイバル術:トラブルを「共通の敵」にする
では、実際にデート中にトラブルが起きた時、どうすれば「気まずさ」ではなく「つながり」に変えられるのか。
具体的なアクションプランをいくつか提案します。
1. 「ごめんね」ではなく「ありがとう」に変換する
何か失敗した時、日本人は反射的に「すみません、ごめんね」と謝ってしまいがちです。
でも、謝りすぎると相手も恐縮してしまい、空気が重くなります。
道に迷ったなら、「ごめん、迷っちゃった」と暗くなるより、「迷ったおかげで、こんな面白い看板見つけたよ! 付き合ってくれてありがとう!」とポジティブに変換しましょう。
「失敗」を「冒険」に書き換えるのです。
2. トラブルを「共通の敵(Common Enemy)」にしてチーム結成
例えば、レストランの料理が恐ろしく不味かったとします(笑)。
これを気まずい沈黙で過ごすのは最悪です。
そうではなく、
「ねえ、これある意味すごくない? どうやったらこの味になるのか、二人で分析してみない?」
と提案してみる。
すると、その瞬間から「不味い料理 vs 私たち」という構図ができあがります。
二人は共犯者になり、チームメイトになります。
「期待外れ」な出来事は、二人でツッコミを入れるための最高のネタなんです。
3. 「せっかくだから(Sekka-ku dakara)」の魔法
日本語には「せっかくだから」という便利な言葉があります。「Since we are already here / Might as well」に近いニュアンスですが、もっとポジティブな意味合いで使われます。
電車が止まって動かない?
「せっかくだから、次の駅まで歩いて探検してみようか」
雨が降ってきた?
「せっかくだから、相合傘(Sharing an umbrella)を楽しもうか」
この言葉は、ネガティブな状況をポジティブな機会(オポチュニティ)へと強制的に変換する魔法の呪文です。
海外の皆さん、ぜひこの「Sekka-ku mindset」を取り入れてみてください。
予測不能こそが、相手の「素(Honne)」を見るチャンス
日本には**「本音(Honne)」と「建前(Tatemae)」**という文化があります。
建前は社会的な顔、本音は本当の心の声です。
完璧に計画されたデートでは、お互いに「建前」の鎧を着ています。スマートに振る舞い、失礼のないように。
でも、カオスは鎧を剥がします。
店員のミスでお茶をこぼされた時、相手が舌打ちをするのか、それとも「大丈夫ですよ」と笑って拭いてくれるのか。
道に迷った時、不機嫌になるのか、「こっちの道の方が面白そうだ」と冒険を楽しめる人なのか。
トラブルは、相手の「本音」と「人間性」を見るためのリトマス試験紙です。
だから、もしデート中に何かが上手くいかなくなったら、心の中でガッツポーズをしてください。
「よし、これで相手の本当の姿が見られるぞ!」と。
次の章へ向けて
ここまで【承】として、**「失敗や予測不能なカオスこそが、二人を深く結びつけるスパイスになる」**というお話をしてきました。
完璧さを手放し、目の前のハプニングを「Wabi-Sabi」の心で楽しむこと。そしてトラブルをチーム戦に変えてしまうこと。
でも、まだ一つ大きな壁があります。
それは、私たち自身の心の中にある「重たい荷物」です。
過去の恋愛のトラウマ、自分に対する自信のなさ、「私はこうあるべき」という固定観念。これらが邪魔をして、素直に目の前の人を楽しめないことがあります。
次回の【転】では、この**「期待という荷物を下ろした時、本当のつながりが見える」**というテーマに切り込んでいきます。
日本独自の「おもいやり(Omoiyari)」の精神が、どうやってカオスな人間関係を温かいものに変えていくのか。
表面的なテクニックではない、心の深い部分でのつながり方についてお話しします。
さあ、砂混じりの唐揚げを笑って食べられるようになったあなたは、もう無敵です。
次は、心の中の鎧をどうやって脱ぐか、一緒に考えていきましょう!
期待という荷物を下ろした時、本当のつながりが見える ~「おもいやり」の極意~
「理想のチェックリスト」という重たい鎧
正直に告白しましょう。
私たちは皆、デートに行く時、心の中にこっそりと「チェックリスト」を忍ばせていませんか?
- 会話のテンポは合うか?
- レディーファーストはできているか?
- 店員さんへの態度はスマートか?
- 私のジョークに笑ってくれるか?
特に私たち女性は、相手を「ジャッジ(評価)」する審査員になりがちです。
「あ、今の沈黙、マイナス5点」
「スープを飲む音、減点対象」
なんて(笑)。
でも、これってすごく疲れませんか?
審査員席に座っている限り、あなたは舞台上の彼と「共演」することはできません。安全な場所から見ているだけ。
そして、この「期待(Expectation)」という名のチェックリストこそが、実は本当のつながりを阻害している最大の敵なんです。
私がまだ独身の頃、完璧なスペックの男性とデートしたことがあります。彼はスマートで、会話も途切れず、エスコートも完璧でした。カオスなんて微塵もない、スムーズすぎるデート。
でも、家に帰った後、私はドッと疲れが出ました。なぜなら、そこには「心の通い合い」ではなく、「完璧な演技の応酬」しかなかったからです。きれいなガラスケースに入った展示物を見ているようで、体温を感じられなかった。
カオスが教えてくれる「以心伝心」の世界
一方で、泥臭いトラブルや、どうしようもない気まずさが起きた時。
そのチェックリストは強制的に破り捨てられます。
「審査」どころじゃなくなるからです。
ここで登場するのが、日本独自のコミュニケーション概念、**「以心伝心(Ishin-denshin)」**です。
これは「言葉を使わなくても、心と心で通じ合うこと」を意味します。
英語で言う “Telepathy” に近いですが、もっと温かみのある、相手への信頼に基づいた感覚です。
カオスな状況、例えば言葉が通じない、道に迷った、大雨に降られた…そんな時、私たちは言葉以上のコミュニケーションを強いられます。
相手が焦っている気配、安堵した時のため息、ふとした瞬間の目配せ。
こうした「非言語(Non-verbal)」の情報量が爆発的に増えるのが、カオスの瞬間なんです。
ある友人の話です。彼女は日本に住むアメリカ人男性とデートをしました。彼は日本語が片言、彼女は英語が苦手。
レストランでオーダーミスがあり、全然違う料理が来てしまいました。
会話で解決しようとすれば、お互いの語学力のなさでパニックになり、気まずい空気が流れたでしょう。
でも、その時二人は顔を見合わせ、言葉もなく「……食べちゃおっか(Let’s just eat it)」という空気を共有し、ニヤリと笑ったそうです。
その瞬間、何万語の会話よりも深く、「あ、この人とは波長が合う」と確信したと言います。
これこそが「以心伝心」。
完璧な会話劇の中には生まれない、カオスが生んだ静かなる絆です。
「おもいやり」は、想像力の中に宿る
ここで、もう一つ大切な日本のキーワード**「おもいやり(Omoiyari)」**についてお話しさせてください。
これは単なる「Kindness(親切)」や「Empathy(共感)」とも少し違います。
「おもいやり」とは、**「相手の立場に立って、相手が見ている景色を想像し、先回りして心を寄せること」**です。
初デートで沈黙が続いた時。
チェックリストを持った自分はこう思います。「なんで彼、喋らないの? 退屈させてるの? 私がつまらないの?」と、自分中心(Self-centered)の不安に陥ります。
でも、「おもいやり」のスイッチを入れると、世界が変わります。
「もしかしたら、彼も私と同じくらい緊張していて、頭が真っ白なのかもしれない」
「慣れない箸を使って、食事に集中しているから無口なのかもしれません」
そう想像できた瞬間、相手は「私を退屈させる敵」から、「同じ不安を抱えた仲間」に変わります。
すると、自然と掛ける言葉も変わってきますよね。
「沈黙、気まずいね」ではなく、
「緊張して、何話していいか飛んじゃいました(笑)。あなたもそうですか?」
と、相手の荷物を一緒に持ってあげるような言葉が出るようになります。
カオスな状況は、この「おもいやり」を発揮する絶好のトレーニングジムなんです。
相手の不手際や失敗を見た時、「減点」するのではなく、「その背景にある事情」を想像する。
これができると、デートは「審査会」から「共同作業」へと進化します。
「金継ぎ」の美学 ~傷こそがオリジナリティ~
今回のブログの裏テーマにもなっている**「金継ぎ(Kintsugi)」**。
割れた陶器を漆で繋ぎ、その継ぎ目を金粉で装飾する日本の伝統技法です。
修復された器は、割れる前よりも芸術的価値が高まり、世界に一つだけの景色を持ちます。
デートにおける「失敗」「気まずさ」「沈黙」「トラブル」。
これらはすべて、二人の関係に入った「ヒビ(Cracks)」です。
多くの人は、ヒビが入った瞬間に「ああ、このデートは失敗作だ、捨てよう」と思います。
でも、ちょっと待って。
そのヒビを、ユーモア(漆)とおもいやり(金)で継いでみてください。
「あの時の沈黙、長かったよね~! 世界記録並みだったよね!」と笑い合えるようになった時、その傷跡は、他のどのカップルも持っていない「黄金の模様」になります。
完璧なデートなんて、誰でもできます(お金と計画があれば)。
でも、完璧に失敗し、それを二人で笑い話に変えたデートは、あなたたち二人にしかできません。
「Expectation(期待)」という名の、誰かが作った既製品の完璧さを捨ててください。
目の前にある、ヒビだらけで、不格好で、予測不能な「Real(現実)」を抱きしめるんです。
そこにしか、あなただけのストーリー(物語)は生まれません。
転から結へ:あなただけの物語を始めよう
ここまで来れば、もう怖いものはありません。
沈黙は「心地よい間」になり、トラブルは「二人の冒険」になり、失敗は「金継ぎのアート」になりました。
私たちはよく「運命の人(The One)」を探そうとします。
でも、運命の人なんて、最初から完成品として落ちているわけじゃないんです。
カオスという炎の中で、一緒に汗をかき、恥をかき、笑い合いながら、お互いを「運命の人」に育て上げていく(Build up)ものだと、私は思います。
さて、いよいよ最後の【結】です。
これまでの「起・承・転」を総括し、明日からの皆さんが、ちょっとだけ肩の力を抜いて、
「よし、次のデートでどんな失敗ができるか楽しみだ!」
と思えるような、力強いエールを送りたいと思います。
最後は、この「カオスを楽しむ」というマインドセットが、デートだけでなく、私たちの人生そのものをどう豊かにしてくれるか、少し大きな視点で締めくくりますよ。
ハンカチの準備はいいですか?(笑)
それでは、ラストの【結】でお会いしましょう!
あなたの「カオス」は、世界で一つの美しい物語になる ~人生の金継ぎ~
「成功」することよりも、「物語」を作ることを目指そう
私たちはよく、人生のイベント(デート、結婚、仕事、子育て)において「成功(Success)」を目指そうとします。
「失敗しないように」「恥をかかないように」。
でも、ちょっと振り返ってみてください。あなたが友達との女子会(Girls’ night out)で一番盛り上がる話題って、どんな話ですか?
「私、昨日のデートですごくスムーズにコース料理を食べて、スマートに帰宅したの」
……なんて話、3分で飽きちゃいますよね(笑)。
それよりも、
「聞いてよ! 張り切ってヒール履いていったら、マンホールの溝にハマって動けなくなって、通りすがりの高校生に助けてもらったの!」
という話の方が、爆笑をさらい、みんなを元気にしませんか?
そう、「完璧な成功」は記録に残るだけですが、「華麗なる失敗(カオス)」は記憶に残り、伝説(Legend)になるんです。
日本には**「物語(Monogatari)」**という美しい言葉があります。
直訳すれば「Story」ですが、これは単なるフィクションではなく、「物が語る」=出来事や体験が積み重なって、その人の深みを作っていくプロセスを指します。
初デートの気まずさも、会話が嚙み合わないもどかしさも、全てはあなたの「物語」の重要なチャプターです。
もし全てが完璧だったら、あなたの人生という本は、何も書かれていない真っ白なページのようなもの。きれいだけど、読んでいて面白くありません。
インクの染みがあり、ページの角が折れ、時には涙で滲んでいる。
そんな「使用感のある人生」こそが、愛おしいのです。
最後の日本的知恵:一期一会(Ichi-go Ichi-e)の真実
ここで、日本人が最も大切にしている言葉の一つ、**「一期一会(Ichi-go Ichi-e)」**を贈ります。
茶道から生まれた言葉で、「この出会いは一生に一度きりのものだから、大切にしましょう」という意味で知られています。
でも、この言葉にはもっと深い、ちょっと「カオス寄り」の解釈ができると私は思っています。
「一期一会」とは、**「二度と同じ瞬間は来ないから、たとえそれが『最悪な瞬間』であっても、味わい尽くせ」**という覚悟の言葉でもあるんです。
デートで沈黙が続き、気まずくて冷や汗が流れる瞬間。
「早く終わればいいのに」と思うかもしれません。
でも、その「極限の気まずさ」を感じている今のあなたは、世界でたった一人、今しか存在しません。
目の前の彼が、コーヒーをこぼして慌てふためいている姿も、今この瞬間だけの光景です。
「うわぁ、すごい空気! こんな気まずいこと、人生であと何回味わえるかしら?」
と、心の中でニヤリとしてみてください。
その瞬間を否定せず、「これもまた、私の一期一会だわ」と受け入れた時、不思議と恐怖心は消え去ります。
雨の日には雨の音を聴き、風の日には風に乗る。
カオスな日には、そのカオスの波に乗ってサーフィンを楽しむ。
それが、日本的な「禅(Zen)」の境地であり、最強のサバイバル術です。
夫婦生活という名の「ロング・カオス・ジャーニー」
少しだけ、私の現在の話をさせてください。
あの「砂利揚げ唐揚げ事件」から数年、私と夫は結婚し、今も一緒に暮らしています。
正直に言います。毎日がカオスです(笑)。
文化の違い、育った環境の違い、些細なことでの喧嘩。「靴下を裏返しのまま洗濯機に入れるな」論争は、未だに解決の糸口が見えません。
でも、あの初デートで学んだ教訓が、今も私たちを支えています。
「完璧じゃなくていい」
「ハプニングこそが思い出になる」
「言葉で伝わらない時は、おもいやり(想像力)で補う」
先日も、夫が私の大切にしていたお皿を割ってしまいました。
昔の私なら激怒していたでしょう。
でも私は、破片を見つめてこう言いました。
「おめでとう! これでついに、私たちも『金継ぎ』に挑戦できるわね!」
夫はポカンとした後、大笑いしました。
今、そのお皿は下手くそな金色の継ぎ目と共に、食器棚の一番目立つ場所に飾られています。新品の時よりも、ずっとずっと大切な宝物として。
初デートの気まずさを乗り越えられた二人は、その後の人生でどんな嵐が来ても、「まあ、あの時の砂利揚げよりはマシか」と笑い飛ばせる強さを持てます。
だから、恐れないでください。今あなたが直面しているそのAwkwardnessは、未来の二人の最強の「笑い話」の種なんですから。
あなた自身が「カオス」であれ
最後に。
これを読んでいる海外の女性の皆さん。
日本のアニメや映画に出てくる、静かで従順で完璧な「ヤマトナデシコ」になろうなんて、1ミリも思わないでくださいね。
私たち日本の主婦だって、家では夫の背中を叩いて笑い、失敗料理を「創作料理よ」と言い張り、たくましく生きています。
あなた自身が、カオスであってください。
大きな口を開けて笑い、感動したらマスカラが落ちるほど泣き、嬉しい時はスキップする。
予測不能で、感情豊かで、完璧じゃないあなた。
そんな「人間臭いあなた」だからこそ、相手は安心し、心を開くのです。
もしデートで失敗したら、こう思ってください。
「私は今、人間としての魅力を振りまいている最中だわ!」と。
さあ、行ってらっしゃい!(Itterasshai!)
長いブログにお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
「Survival Guide: Embracing the Chaos」。
このガイドブックは、ここで終わりですが、あなたの実践はこれからが本番です。
次のデート、あるいは明日会う誰かとの時間。
もし沈黙が訪れたら、それは「Ma(間)」です。楽しんで。
もしトラブルが起きたら、それは「Kintsugi(金継ぎ)」のチャンスです。喜んで。
そして、もし全てがめちゃくちゃになったら、「Ichi-go Ichi-e(一期一会)」と呟いて、そのカオスを抱きしめてあげてください。
完璧な自分なんて脱ぎ捨てて、不完全で美しい「あなた」という物語を、世界に見せつけてやりましょう。
日本の片隅から、あなたの素敵なカオス・ライフを全力で応援しています。
上手くいかなかったら、またここに戻ってきて笑いましょう。
私たちはみんな、同じ不完全な人間同士なんですから。
それでは、行ってらっしゃい!
(Have a wonderful, chaotic journey!)

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