「名もなき家事」の嵐と、あるビジネス書の出会い
(ここから「起」本文)
ハロー、こんにちは! 旅先じゃなくて、日本の「日常」に興味を持ってくれてありがとう!
私は「まいこ」と言います。東京の片隅で、夫と、やんちゃ盛りの子ども二人(と、なぜか私に一番なついているデグー)と暮らしている、ごくごく普通の主婦です。
みなさんが「日本」と聞いてイメージするものは何でしょう?
美味しいお寿司? 桜? それとも、ネオンきらめく新宿の交差点や、古き良き京都のお寺?
もちろん、それも全部、日本の素敵なところ!
でも、今日は皆さんに、ガイドブックには絶対載っていない、もっと「リアル」な日本の、とある場所…そう、**「私の家のキッチン」**から、とっておきの話をお届けしたいと思います。
「え、キッチンの話?」って思うかもしれないけど、ちょっと待って!
実は、この「キッチン」という小さな戦場で、私は最近、人生を変えるかもしれない(ちょっと大げさ?笑)「知恵」を発見したんです。
朝6時。東京の、とある家庭の風景。
ピピピピ…!
目覚ましの音。正確には、炊飯器が「ご飯、炊けたよ!」と主張する音で、私は飛び起きます。
窓の外はまだ薄暗い。
ここからが、私の「戦い」の始まり。
まず、寝ぼけ眼の夫を叩き起こし(これが第一の難関)、炊飯器のフタを開ける。湯気と共にお米のいい香りが広がる。うん、今日も完璧。
すぐさま、昨夜仕込んでおいたお味噌汁の鍋を火にかけます。
その隣のコンロでは、卵焼き器(四角いフライパン、海外の皆さんには珍しいかな?)で、お弁当用の卵焼きをジュワ〜。
「あ、いけない!長男の分のウインナー、焼くの忘れてた!」
「お茶、沸かしておかないと」
「洗濯機、回しちゃわないと…でも、次男がまだ寝てるから、起こしちゃうかな…」
頭の中は、常に複数のタスクがぐるぐる。
まるで、大企業の複雑なプロジェクトを同時に動かしているみたい(大企業で働いたことないけど!笑)。
日本で数年前に話題になった**「名もなき家事(Namonaki-Kaji)」**という言葉を知っていますか?
これは、「洗濯」とか「料理」みたいに、ちゃんとした「名前」がついていない、細か〜い家事のこと。
例えば…
- トイレットペーパーの芯を替える。
- シャンプーの詰め替えパックを、ボトルに慎重〜に入れる。
- 濡れた洗面台を、さっと拭く。
- 飲みっぱなしのコップを、キッチンに戻す(これは夫への静かな怒り。笑)。
- 子どもが脱ぎ散らかした靴下を拾い集め、洗濯カゴに入れる。
こういう「名もなAFい家事」が、日本(たぶん、世界中の)の家庭には溢れてるんです。
一つひとつは、1分もかからない。
でも、一日中、それが次から次へと発生する。モグラ叩きみたいに。
子どもたちを「早く早く!」と急かし、どうにか送り出す。
夫も、慌ただしく「いってきます!」と出ていく。
ふう…。
嵐が去ったリビングで、私は冷めかけたコーヒー(もはやコーヒー風味のぬるま湯)を一口すする。
時計は、まだ午前9時。
それなのに、私のHP(ヒットポイント)はもう、赤く点滅してる。
「私、今日、いったい何をしてたんだろう…?」
洗濯機は回ってる。朝ごはんの食器はシンクにある。でも、なんだろう、この達成感のなさと、燃え尽きた感は。
日本の主婦って、もしかしたら海外から見ると「丁寧な暮らし」とか「いつもニコニコ」みたいなイメージがあるかもしれません。
あるいは、「ガマン(Gaman)」…つまり、我慢強くて、文句を言わずに家庭を守る、みたいな。
でもね、現実は、そんな綺麗なものじゃなかったりする(笑)。
私は、もっと効率よく、もっと楽しく、この「日常」という名のプロジェクトを回せないものか、とずっと思っていました。
だって、人生は一回きり。
「名もなき家事」に追われて、イライラして、寝る前に「あーあ、今日も怒っちゃったな…」って自己嫌悪で終わるなんて、もったいない!
そんなモヤモヤを抱えていたある日。
夫が「これ、面白いよ」とリビングに置きっぱなしにしていた、一冊のビジネス書が目に入りました。
パラパラとめくってみる。
英語のカタカナが並んでいて、難しそう。
「サステイナブル・グロース(持続可能な成長)」
「リーン・スケジュール(無駄のない日程)」
「パッシブ・インカム(自動化された収益)」
「はぁ…。私には関係ない世界だなぁ」
そう思って、本を閉じようとした、その時。
ある一文が、私の目に飛び込んできました。
『Profit with Purpose: 目的を持った利益』
…利益?
主婦の私に、利益なんて…。
いや、待てよ?
もし、**「利益(Profit)」を「お金」じゃなくて、「心のゆとり」や「家族の笑顔」**って読み替えたら?
もし、**「目的(Purpose)」を、「家族の幸せ、そして、私自身の幸せ」**って設定したら?
もし、この難しそうな「ビジネス理論」を、毎日の「家事」に応用できるとしたら…?
それは、私がずっと探し求めていた、「ガマン」でも「気合」でもない、もっとスマートな「人生術(じんせいじゅつ)」になるんじゃないか?
「Profit with Purpose…(目的を持った、ゆとり)」
私は、さっきまでぬるま湯だったコーヒーを飲み干し、もう一度、そのビジネス書を真剣に読み始めたのです。
日本の、とある主婦の「キッチン」で始まった、小さな、でも壮大な「家庭(という会社)の経営改革」。
これが、海外の皆さんが日本の「リアルな知恵」として興味を持ってくれるかは、まだわからない。
でも、もし、あなたが私と同じように「毎日に追われて、なんだか息苦しい」と感じているなら…
この、ちょっと不思議な「ビジネス書×家事」の実験、
もう少し、聞いていってくれませんか?
私の「スイートスポット」はどこ? 家族時間と両立させる「やらない家事」の見つけ方
(ここから「承」本文)
さてさて。
「起」では、私が「名もなき家事」の嵐の中で燃え尽きそうになり、夫のビジネス書から『Profit with Purpose(目的を持った利益)』…つまり、「ゆとり」と「家族の幸せ」というヒントを見つけた、という話をしました。
「ビジネス理論を、家事に?」
「そんな難しいこと、逆に疲れそう…」
うんうん、そう思うよね。私も最初はそうでした。
だって、キッチンに立っている私は、別に「CEO」でも「マネージャー」でもない。ただの「まいこ」だもん。
でも、その本を読み進めていくうちに、私はある言葉に釘付けになりました。
それが、今回のテーマ。
『Identifying your “sweet spot” offerings(あなたの “スイートスポット” な提供物を見極めなさい)』
スイートスポット。
テニスや野球で、ボールが一番よく飛ぶ「芯」のことだよね。
ビジネスの世界では、「自分(会社)が提供できること(強み)」と「お客さんが求めていること(ニーズ)」が、ピタッと重なる「最高に効率よく成果が出る領域」のことを指すらしい。
ここを狙えば、最小限の力で、最大限の「利益(Profit)」が出せる、と。
…最小限の力で、最大限の「ゆとり(Profit)」を?
私は、思わずキッチンを見渡しました。
シンクには、まだ洗っていない朝食の食器。
床には、子どもがこぼした牛乳の跡(拭いたけど、まだちょっとベタつく…)。
冷蔵庫には、いつ買ったか思い出せない野菜が…。
私は今まで、この家で発生する**「すべて」**を、どうにかしようともがいていた。
「良いお母さん」「素敵な奥さん」という、ぼんやりとした「理想」に向かって、全部の家事を100点でこなそうとしていたんです。
でも、もし。
もし、家事にも「スイートスポット」があるとしたら?
私が「これは大事!」と思って必死にやっていることが、実は家族にとっては「どうでもいい」ことだったり…
逆に、私が「手抜きだ」と罪悪感を抱いていたことが、実は家族の「大好き」と重なっていたり…?
「家族(お客さん)が本当に求めているニーズは、何?」
「私(主婦)の強み…というか、無理なく続けられることは、何?」
私は、探偵みたいに、我が家の「スイートスポット」を探すことに決めたんです。
実験1:恐怖の「お弁当アンケート」
まず、私が「これは私の仕事の核だ!」と思い込んでいたものにメスを入れました。
それは、「毎日のお弁当」。
日本の主婦の中には、お弁当作りにものすごい情熱をかける人がたくさんいます。
SNSを開けば、まるでアート作品のような「キャラ弁(Kyara-ben)」…アニメのキャラクターをご飯やおかずで再現したお弁当が溢れてる。
私も、そこまではできなくても、「彩り(Irodori)」を気にして、赤(トマト)、黄(卵焼き)、緑(ブロッコリー)は絶対に入れなきゃ!とか、栄養バランスを考えて、昨日の夕飯とは絶対違うものを…とか、ものすごくプレッシャーを感じていました。
毎朝、あと5分寝たいのに…と思いながら、複雑な卵焼きを作ったり、小さなウインナーにタコの飾り切りを入れたり。
でも、ある日、私は聞いてみたんです。
学校から帰ってきた息子(8歳)に。
「ねえ、今日のお弁当、どうだった?」
(本当は「全部食べてくれて、ママ嬉しい!」って言いたいのを我慢して、冷静なトーンで)
息子は、ランドセルを放り投げながら、こう言いました。
「ふつう。あ、でも、あの『くるくる』したやつ、いらない」
…くるくるしたやつ?
私が、手間ひまかけて、ハムとチーズを重ねて巻いた、あのかわいい「おかず」のこと…?
「え、じゃあ、何が入ってたら一番うれしいの?」
恐る恐る聞くと、息子は即答しました。
「ウインナー。あと、昨日の夜の『からあげ』」
…え?
昨日の、残り物で、いいの?!
っていうか、飾り切りとかしてない、ただの「ウインナー」が、いいの?!
ガーン。
頭を殴られたような衝撃でした。
私は、息子の「ニーズ」を完全に見誤っていたんです。
彼が求めていたのは、「ママの手間ひま(=自己満足)」ではなく、「大好きな味(=彼の幸せ)」だった。
そして、私の「強み」は、朝の5分を削って「くるくるハムチーズ」を作ることじゃなかった。
この日を境に、我が家のお弁当ポリシーは劇的に変わりました。
「息子の『スイートスポット』は、『茶色いおかず』である!」
そう。唐揚げ、ハンバーグ、ウインナー、生姜焼き。
彩り? 知らない!
緑が欲しければ、冷凍の枝豆をポンと入れればいい(日本の冷凍食品は、本当に優秀!)。
実験2:「やらない家事」リストの作成
スイートスポットが「やるべきこと」なら、その逆…「スイートスポットじゃないこと」は、やらなくていいはず。
次に私が取り掛かったのは、**「やらない家事(Yaranai Kaji)」**を決めること。
これは、日本でも数年前から流行っている考え方で、「完璧な主婦」という幻想から自分を解放する、いわば「主婦の働き方改革」みたいなものです。
ビジネス書にも書いてありました。
「リソース(資源)は限られている。すべてをやろうとするな。集中しろ」と。
私のリソース、それは「時間」と「体力(と、心の余裕)」。
これは、無限じゃない。
私はノートを開いて、自分が「大嫌いだけど、我慢してやっている家事」を書き出しました。
- アイロンがけ。(本当に、心の底から嫌い。ピシッとならないし、熱いし、時間かかるし)
- お風呂のピンク汚れ(カビの一種)の掃除。(見るとテンションが下がる)
- 平日の、凝った夕飯作り。(子どもに「早く!」と急かされながらコンロの前に立つストレス)
そして、これらを「やらない」ために、どうするか?
そう、「スイートスポット」に(もしくはテクノロジーに)任せるんです。
【私の解決策】
- アイロンがけ → やらない!
- 夫のワイシャツは、全部「形状記憶シャツ」に買い替えてもらった。
- 私と子供の服は、「乾燥機までOK」か「シワが味になる素材(リネンとか)」しか、もう買わない。
- これは、ビジネスでいう「アウトソーシング(外注)」ならぬ、「プロダクト(製品)の見直し」です。
- お風呂のピンク汚れ → やらない!(予防する)
- 日本には「防カビくん煙剤」という、煙でカビを防ぐ素晴らしいアイテムがあるんです。
- これを2ヶ月に1回やるだけ。あとは、家族全員に「お風呂から出る時、冷たいシャワーで壁を流す」というルールを追加。
- 「問題が起きてから対処する(掃除する)」より、「問題が起きない仕組み(予防)」を作る方が、よっぽど「スイートスポット」だと思いませんか?
- 平日の凝った夕飯作り → やらない!
- ここで、私の「本当の強み」が活きてきました。
- 私は、細かい作業(キャラ弁)は苦手だけど、「段取り(Dandori)」…つまり、計画を立てて効率よく物事を進めるのは、割と好き。
- そこで、週末の「時間と心に余裕がある時」に、まとめて「下味冷凍(Shita-aji Reitō)」を作ることにしたんです。
「下味冷凍」は、まさに日本の主婦の知恵。
お肉や魚を、調味料(醤油、みりん、生姜など)と一緒にフリーザーバッグに入れて、冷凍しておくだけ。
平日は、これを解凍して、フライパンで「焼くだけ」。
どうです?
これなら、平日の私は、子どもが「お腹すいたー!」と泣き叫ぶ横で、10分でメインディッシュが完成させられる。
しかも、週末の「私(強み)」が下ごしらえしてるから、味はバッチリ。
これが、私が見つけた「家族のスケジュールと両立する、スイートスポットな提供物(=焼くだけの夕飯)」です。
「スイートスポット」は、「完璧」の対極にあった
あのビジネス書をキッチンで読んでから数ヶ月。
私は、「スイートスポット」を見つけることは、**「やらないことを決める勇気」**なんだと気づきました。
海外の皆さんから見て、日本の主婦は「なんでも完璧にこなす」イメージがあるかもしれません。
でも、少なくとも私は違った。
完璧を目指そうとして、イライラして、一番大切にしたい「家族との時間」を、無愛想な顔で過ごしていた。
私の「スイートスポット」は、「ピカピカの家」でも「三ツ星レストランみたいな料理」でもなかった。
それは、
「平日の夜、子どもと笑いながら『焼いただけ』の生姜焼きを食べること」
であり、
「アイロンがけをやめたことで生まれた30分で、夫とどうでもいい話(これが大事!)をすること」
でした。
ビジネス理論は、私に「もっと頑張れ」とは言わなかった。
むしろ、「あなたのリソース(時間と体力)は貴重だよ。もっと賢く使いなよ」と教えてくれたんです。
さて。
こうして「やるべきこと(スイートスポット)」と「やらないこと」を仕分けた私。
「じゃあ、『やるべき』と判断した家事を、どうやって効率よく回していくか?」
そう、次に私が学んだのは、
「リーン・スケジュール」…つまり、「無駄のない家事の回し方」でした。
リーンな家事マーケティング?! 「頑張ってる感」ゼロで家族の満足度を上げる、日本の「おもてなし」の裏側
(ここから「転」本文)
【承】のパートで、私はついに「スイートスポット」を発見しました。
「家族(お客さん)が本当に求めていること」と「私(CEO兼ワンオペ社員)が無理なくできること」が重なる、魔法の領域。
それは、「手の込んだキャラ弁」ではなく「昨日の唐揚げ」であり(笑)、
「アイロンがけ」を捨てる勇気と、「下味冷凍」という名の未来の自分への投資(=段取り)でした。
よし!
「やるべきこと(=スイートスポット)」は見極めた。
これで私の「家庭(という会社)」は、ゆとり(Profit)を生み出す、優良企業(?)に生まれ変わる…!
…と、思っていました。
そう、あのビジネス書を読むまでは。
私が次にぶち当たったページ、それが今回のテーマ。
『Marketing on a lean schedule: effective strategies that don’t demand constant online presence.』
(リーンな(無駄のない)スケジュールでのマーケティング:常にオンラインである必要がない、効果的な戦略)
…マーケティング?
宣伝活動、ってこと?
家事に、宣伝?
「下味冷凍、作りましたよー!」って、家族にチラシでも配れと?
「私、こんなに頑張ってます!」って、SNSでアピールしろと?(あ、それは「constant online presence(常時オンライン)」だからダメか)
「リーン(Lean)」というのは、「贅肉のない、効率的な」という意味。
つまり、「最小限の努力(リーン)で、家族(お客さん)に、この家(会社)の『価値』を伝え、満足度を上げ、協力を取り付ける(マーケティング)方法」…
そう解釈した瞬間、私はまた、雷に打たれた気分でした。
なぜなら、私は「マーケティング」を、大失敗していたから。
「承」で、私は「やらない家事」を決めて、スッキリした気分になっていました。
でも、考えてみて。
「名もなき家事」は、私が「やらない」と決めても、そこ(家の中)に存在し続けるんです。
- 夫が読みっぱなしにした新聞。
- 子どもが脱ぎっぱなしにした靴下。
- 誰も補充しない、トイレットペーパー。
これらに対して、私が今まで取っていた「マーケティング戦略」、それは…
「イライラを態度に出す(無言の圧力)」
「『もー!』と大きなため息をつきながら片付ける(恩着せがましいアピール)」
「『なんで私ばっかり!』と、最終的に爆発する(最悪のプレゼンテーション)」
…どうです?
こんな「マーケティング」されたら、お客さん(家族)の満足度、ダダ下がりですよね(笑)。
これは「リーン」どころか、私の「心(リソース)」をすり減らす、最悪の「ヘビー」な戦略です。
「constant online presence(常時オンライン)」ならぬ、「constant on-nagging presence(常時ガミガミしてる)」状態!
ビジネス書は、私に「まいこ、君のやり方は古すぎる!」と、静かに(でも厳しく)語りかけてきました。
じゃあ、どうする?
「ガミガミ言う(=重いマーケティング)」以外の方法で、家族(お客さん)に「協力」してもらい、家(会社)の「満足度」を上げるには?
ここからが、私の「リーン・マーケティング」大作戦の始まりです。
私がヒントにしたのは、皮肉なことに、海外の皆さんが大好きな、あの言葉でした。
戦略1:「おもてなし」の勘違い。本当の「おもてなし」は、「システム」である。
「Omotenashi(おもてなし)」。
日本の「完璧なホスピタリティ」として、世界に知られていますよね。
相手が求めることを、相手が言う前に察して、完璧に提供する…。
多くの日本の主婦(かつての私も含む)は、これを家庭でやろうとして、自滅します。
「言わなくても、察してよ!」
「こんなに頑張ってるのに、なんで気づかないの!」
…と。
でも、本物の「おもてなし」(例えば、日本の高級旅館)って、一人の従業員の「 superhuman(超人的)な頑張り」だけで成り立っていると思いますか?
違う。
彼らには、**「仕組み(シクミ)」**があるんです。
お客さんが快適に過ごせるように、裏側で、無数の「システム」が動いている。
私がやるべき「マーケティング」は、この「おもてなしシステム」を、家庭に導入することでした。
「頑張る」んじゃなく、「仕組み化」する。
【実例:玄関(Genkan)のリーン・マーケティング】
- お客さん(家族)の課題:子どもたちが、靴を脱ぎっぱなしにする。玄関がいつもゴチャゴチャ。
- 古い(重い)マーケティング:「靴をしまいなさーい!」(と、一日5回叫ぶ。=constant on-nagging)
- 新しい(リーン)マーケティング:まず、「なぜ、彼らは靴をしまえないのか?」を分析しました。答え:シューズボックスの「扉」を開けて、「靴」を持って、「棚」に押し込んで、「扉」を閉める…という作業が、彼ら(特に子ども)にとっては「面倒くさい」から。そこで、私はやりました。シューズボックスの「扉」、外しました(笑)。そして、子ども用の段には、100円ショップで買った「イラストシール」を貼りました。「長男の靴は、車のシールのところ」「次男の靴は、恐竜のシールのところ」結果、どうなったか?彼らは、まるで「パズル」を完成させるみたいに、自分から靴を(一応)揃えて「駐車」させるようになったんです。これは、私(マーケター)が「ガミガミ言う」のではなく、「仕組み(扉のない棚、シール)」が、家族(お客さん)を「マーケティング(誘導)」してくれた、ということです。
「頑張ってる感」ゼロ。
むしろ「扉、外しちゃったよ」というズボラ感(笑)。
これこそが、「リーン・マーケティング」だと思いませんか?
戦略2:「Kashi-ka(可視化)」こそが、最強のセールスマンである。
日本のビジネス、特に製造業では、「Kashi-ka(可視化)」という言葉をとても大切にします。
「問題」や「進捗」を、誰の目にも「見える」ようにすることで、改善(Kaizen)を進める、という考え方。
これを、家事に応用しました。
【実例:トイレットペーパー問題】
- 課題:誰も、トイレットペーパーの「最後の一個」を交換しない。「芯」だけが虚しくカラカラ回っている。
- 古い(重い)マーケティング:「誰ー?! 替えてないの!」(と、トイレから叫ぶ。=最悪のカスタマーエクスペリエンス)
- 新しい(リーン)マーケティング:なぜ、替えないのか?答え:「予備の場所が、わかりにくい(トイレの上の棚)」し、「在庫が、今どれくらいヤバいか、誰も知らない」から。そこで、私はやりました。トイレットペーパーを、「隠す収納」から「見せる収納」に変えたんです。壁に、細長い突っ張り棒を設置して、そこにトイレットペーパーを「塔」のように積み上げました。インテリア雑誌に出てくるような、おしゃれなやつです。これが、最強の「セールスマン」になりました。私は、もう「替えて!」と叫ばない。だって、「トイレットペーパーの塔(=仕組み)」が、静かに、でも雄弁に、家族に「マーケティング」してくれているから。
- 在庫が「可視化」されたので、「あ、ペーパー、あと3個だね」と家族が気づく。
- 補充する場所が「目の前」にあるので、「芯」になったら、そこから取るしかない。
「常時オンライン(ガミガミ)」である必要がない。
だって、システムが24時間、私の代わりに働いてくれているんです。
戦略3:最高の「顧客満足(CS)」は、「感謝」という名の報酬。
さて。
「仕組み(リーン・マーケティング)」を導入して、家事(会社)のオペレーションは劇的に改善しました。
でも、ビジネス書は最後にこうも言っています。
「顧客を、ファンにしなさい」と。
家族(お客さん)が、私の「仕組み」に、いやいや従っているだけじゃダメ。
彼らが「この家(会社)って、いいな!」と、満足度(CS)を高く持ってくれないと、この「リーン」な関係は続かない。
じゃあ、家族の「満足度」って、何で測れる?
それは、「お金」じゃなくて…
そう、**「笑顔」と「ありがとう」**ですよね。
私は、家族が「仕組み」に乗ってくれた時…
夫が(珍しく)食後の食器をシンクに運んだ時、
子どもが(奇跡的に)靴を揃えた時、
かつての私は、「…ふん、それが当たり前よ」と(心の中で)思っていました。
「やってない回数の方が、100倍多いわ」と。
でも、「リーン・マーケティング」を学んだ私は、違います。
私は、すかさず「報酬(リワード)」を渡します。
最高の「顧客満足(CS)」戦略を。
「ありがとう! 助かった!」
(と、満面の笑顔で)
「え、そんなこと?」って思う?
違うんです。これが、日本(そしてたぶん世界中)で、最強の「リーン・マーケティング」なんです。
ガミガミ言う(=重いマーケティング)のは、相手の「ダメなところ」を指摘すること。
「ありがとう」を言う(=リーン・マーケティング)のは、相手の「できたこと」を承認すること。
どちらが、次も「協力しよう」という「リピーター(ファン)」になってくれるか?
…答えは、明らかですよね。
こうして、私は「ガミガミ言う主婦」を卒業しました。
私は、「リーン・マーケター」になりました。
「頑張ってる感」ゼロで。
「仕組み」と「可視化」と「感謝」という、最小限の力で。
家族(お客さん)の満足度を上げる「戦略」を、手に入れたんです。
でもね。
この「仕組み」、まだ完成じゃないんです。
そう、あのビジネス書には、最後の章が残っていました。
私(CEO)が、この家(会社)から、ちょっと「お休み」をもらったとしても、
ちゃんと、この「ゆとり(Profit)」が回り続ける仕組み。
そう、いよいよ、あの言葉に挑戦します。
『Automating revenue streams: 自動化収益(パッシブ・インカム)』…
え? 主婦が、パッシブ・インカム?!
私が手に入れた「自動化収益(パッシブ・インカム)」、それは「ゆとり」という名の人生の財産
(ここから「結」本文)
【起】で、「名もなき家事」に追われHP(ヒットポイント)ゼロだった私が、
【承】で、「スイートスポット(=やらない事)」を見極め、
【転】で、「リーン・マーケティング(=仕組み化)」で、ガミガミ言うのをやめた。
…さて。
私の「家庭(という会社)」は、ずいぶんスリムで、効率的な組織に生まれ変わりました。
「まいこCEO、なかなかやるじゃない」
と、私はキッチンで一人、ニヤニヤしていました。
そんな時、あのビジネス書の「最終章」が、私の目に飛び込んできたんです。
『Automating revenue streams: passive income ideas that work while you’re making dinner.』
(収益の流れを自動化する:あなたが夕飯を作っている間にも機能する、不労所得のアイデア)
…パッシブ・インカム?
…不労所得?
「え、ちょ、待って。私、主婦よ?
『お金』の話は、さすがに畑違いすぎない…?」
私は、夫が置いていったあのビジネス書が、急に「うさんくさい(Usa-kusai)」…つまり、ちょっと怪しいものに思えてきました。
「家事」と「ビジネス」を繋げる実験は楽しかったけど、「不労所得」は、さすがに…
そう思って、本を閉じようとした、その時。
(……ん? でも、待てよ?)
【起】で、私は「利益(Profit)」を「お金」じゃなくて、「心のゆとり」と読み替える、と決めましたよね?
だとしたら。
**「Passive Income(不労所得)」は、「Passive Yutori(不労“ゆとり”)」**って、読み替えられない?
「あなたが夕飯を作っている間にも、自動で『ゆとり』が生まれ続ける仕組み」
…!
それって、私が【転】で、必死に作ろうとしていた「仕組み(シクミ)」そのものじゃない?!
私が「夕飯を作っている間」に、働いてくれるもの
考えてみて。
かつての私(HPゼロのまいこ)が、夕飯を作っていた時。
キッチンは、戦場でした。
「あー!お肉、焦げる!」
「あ、洗濯機、止まっちゃった!」
「もー! 子ども、泣かないで!」
「夫、まだ帰ってこないの?!」
頭の中は、常にパニック。
「夕飯を作る」という一つのタスクをしながら、他のすべてのタスクに「追われて」いました。
でも、今の私は?
キッチンで、お気に入りの音楽を聴きながら、
【承】で見つけた「スイートスポット」…つまり、週末の私が「投資」してくれた「下味冷凍(Shita-aji Reitō)」を、フライパンで「焼くだけ」。
この時、何が起きているか?
- 「週末の私」が、「平日の私」のために、働いてくれている。(=時間の自動化)
これが、私にとっての「パッシブ・インカム」の、第一号でした。
「未来の自分」をラクさせるために、「過去の自分」が働いてくれる仕組み。
これ、日本人が得意な「段取り(Dandori)」の真髄かもしれません。
私が「オンラインじゃない時」にも、働いてくれるもの
【転】で、「リーン・マーケティング」の話をしました。
かつての私は、「constant on-nagging(常時ガミガミ)」で、家族の行動を「監視」し、「指摘」するという、重い重いマーケティングをしていました。
でも、今の私は?
私が、リビングで(こっそり)お茶を飲んで、一息ついている間…。
- トイレでは、あの「トイレットペーパーの塔(=可視化された在庫)」が、静かに、でも確実に、家族に「そろそろ補充だよ」と**マーケティング(自動宣伝)**してくれている。
- 玄関では、あの「扉のないシューズボックス」と「恐竜のシール」が、「靴はここだよ」と子どもたちを**マーケティング(自動誘導)**してくれている。
私は、もう「ガミガミ」言いません。
だって、家中に配置した「仕組み(シクミ)」たちが、私の代わりに、24時間365日、文句も言わずに「自動で」働いてくれているから。
私が「オンライン」じゃなくても、
私が「夕飯を作って」いても、
私が「寝て」いても、
家事(という会社のシステム)が、勝手に「ゆとり」と「秩序」を生み出し続けてくれる。
これこそが!
主婦・まいこがたどり着いた、「自動化収益(パッシブ・インカム)」の正体だったんです!
そして、CEO(私)は、やっと「利益」の本当の使い道を知る
あのビジネス書を読み終えた日。
私は、ふうっと、大きな息をつきました。
「名もなき家事」の嵐に飲み込まれそうだった私が、
「スイートスポット」を見つけ、「やらない勇気」を持ち、
「リーン・マーケティング」で「仕組み化」を進め、
ついに「パッシブ・インカム(自動化された“ゆとり”)」を手に入れた。
私の「家庭(という会社)」は、ついに「黒字化(ゆとり化)」に成功したんです。
じゃあ、最後。
そうやって生み出した「利益(=ゆとり、時間、心の余裕)」を、
私(CEO)は、何に「投資」するべき…?
ビジネス書は、もう何も教えてくれません。
だって、そこから先は、「ビジネス」の話じゃなく、「人生」の話だから。
私は、パタン、と本を閉じました。
そして、新しく手に入れた「利益」…つまり、「夕飯の支度が10分で終わって、生まれた30分のゆとり」を使って、
リビングで、テレビを見ている夫の隣に、どっかりと座りました。
「ねえ、聞いてよ。私、今日、ついに不労所得を手に入れたわ」
「…は? 何言ってるの? 株でも始めた?」
「違うよ。この『30分』が、私の不R
「…?」
(笑)
夫は、まだ、キョトンとしています。
それでいいんです。
その「30分」で、
「今日、子どもがこんな面白いこと言ってたよ」とか、
「週末、あそこの公園行ってみない?」とか、
そんな、「利益」にも「生産性」にもならない、
最高に「どうでもいい(=愛おしい)話」をする。
「早く早く!」と急かすのをやめて、
子どもが、公園で見つけた「ただの石ころ」の自慢話を、
「へえ、すごいじゃん!」と、ちゃんと目を見て聞く。
私が「CEO」として、必死に「経営改革」してきた、この「家事」というプロジェクト。
その『Profit with Purpose(目的を持った利益)』の、**「目的(Purpose)」**は、
「ピカピカの家」を維持することでも、
「完璧なママ」になることでも、
「効率化」そのものを楽しむことでも、
ありませんでした。
その「目的」は、
そうやって生み出した「時間」と「心のゆとり」という名の「利益(Profit)」を、
この「家族」という名の、どうでもよくて、最高に愛おしい「日常」に、再投資すること。
それこそが、
私がこの「キッチン」という名の、小さな小さな会社(?)で見つけた、
たった一つの、「人生術(じんせいじゅつ)」だったんです。
…と、いうわけで!
日本の、とある主婦の「キッチン」から始まった、壮大な(?)実験レポートは、これにておしまい。
海外の、日本に興味を持ってくれる皆さんに、
「お寿司」や「京都」の話じゃなくて、ごめんね(笑)。
でも、もし、あなたが日本の「リアルな日常」や「知恵」に触れたいと思ったら、
それは、「ピカピカの観光地」よりも、
案外、こんな「名もなき家事」と格闘している、私たちの「普通の暮らし」の中に、
たくさん転がっているのかもしれません。
最後まで読んでくれて、ありがとう!
さて、と。
「パッシブ・インカム」が働いてくれている間に、私はちょっと、コーヒーでも飲もうかな。
まいこより。

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