「頑張りすぎ」を手放して、もっと楽に生きよう。日本の主婦が実践する、現代版・自然と調和する暮らしの知恵

なんとなく不調…それ、季節のせいかも?日本人が大切にする「自然の声」を聞くという感覚

皆さん、こんにちは。

日本の主婦です。今の日本の季節は、空気が少しずつ澄んできて、朝晩の冷え込みに思わず肩をすくめてしまうような、そんな時期を迎えています。

皆さんがお住まいの地域はどうですか?

常夏の国に住んでいる方もいれば、厳しい冬を迎えている国、あるいは日本とは真逆の季節の中にいる方もいらっしゃるかもしれませんね。

今日は、私が日本で主婦として暮らしながら感じている「生き方のヒント」についてお話ししたいと思います。特に、家事に育児に、あるいは仕事にと、毎日走り回っている皆さんにこそ聞いてほしいお話です。

便利な現代社会で感じる「名もなき不調」

突然ですが、皆さん。「どこも悪くないはずなのに、なんだかダルい」「朝起きても疲れが取れていない」「イライラしやすくなった」……そんなふうに感じることはありませんか?

実は私も、30代に入った頃、まさにこの状態に陥っていました。

今の世の中、本当に便利ですよね。日本でも海外でも、スーパーに行けば一年中トマトやキュウリが買えるし、部屋の中はエアコンで常に適温。夜中でも明るい部屋でスマホを見れば、世界中の情報が手に入ります。

私たちは、いつの間にか「季節」や「時間」を無視して生きられるようになりました。

でも、ふと思うんです。「便利になったはずなのに、なんでこんなに毎日しんどいんだろう?」って。

私が思うに、私たちの体はまだ「野生」を忘れていないのに、頭と環境だけが「デジタル」になりすぎているからなんじゃないかな、と思うんです。

頭では「もっと頑張れる!」「効率よく動かなきゃ!」と思っていても、体は「いやいや、今は休む時期だよ」とか「もう日が暮れたから寝ようよ」って訴えている。この**「頭と体のズレ」**こそが、現代の私たちが抱えるストレスの正体なのかもしれません。

日本の「おばあちゃんの知恵」が教えてくれたこと

私がこのことに気づいたのは、私の祖母の何気ない一言がきっかけでした。

ある冬の寒い日、私が薄着でバタバタと掃除をしていると、祖母がこう言ったんです。

「あんた、そんなに『気』を張ってたら、寒さが入ってくるよ。冬は『閉じる』季節なんだから、体も心も少し閉じて、温めておきなさい」

その時の私は、「いやいや、掃除しなきゃ終わらないし!」と思ったんですが(笑)、後になってこの言葉の意味がじわじわと染みてきたんです。

日本には古くから、**「二十四節気(にじゅうしせっき)」や「七十二候(しちじゅうにこう)」という、季節を細やかに感じる文化があります。

春分、夏至、秋分、冬至……これらは単なるカレンダーの印ではありません。「今はこういうエネルギーが流れている時期だから、こう過ごすと楽だよ」という、先人たちが残してくれた「生き方の処方箋」**みたいなものなんです。

例えば、今の私がいる日本のような「冬の入り口」の時期。

自然界を見てみると、木々は葉を落としてエネルギーを根っこに溜め込み、動物たちは冬眠の準備をしますよね。つまり、自然界全体が「省エネモード」に入っているんです。

それなのに、私たち人間だけが「年末に向けてラストスパートだ!」「忘年会だ、パーティーだ!」とエネルギーを全開にしていたら……そりゃあ、疲れて当たり前ですよね。

祖母が言いたかったのは、「自然が休んでいる時は、人間も一緒にペースダウンしていいんだよ」ということだったんです。

これを理解してから、私は自分を責めるのをやめました。

冬の朝、布団から出られないのは私が怠け者だからじゃなくて、体が「冬モード」だから。

雨の日に頭が痛くなるのは、私が弱いからじゃなくて、気圧の変化に体が敏感に反応している証拠だから。

そう思うと、なんだか少し、肩の荷が下りるような気がしませんか?

「丁寧な暮らし」じゃなくていい。「野性的な勘」を取り戻す

「日本の季節感」というと、なんだかすごく高尚なものに聞こえるかもしれません。

毎日着物を着て、季節の花を生けて、手間暇かけた和食を作って……みたいな「丁寧な暮らし」をイメージされる方もいるかもしれませんね。海外向けのSNSでも、そういう美しい日本の姿がよく発信されていますから。

でも、私が今日皆さんにお伝えしたいのは、そんな堅苦しいことではありません。

もっと本能的で、もっと泥臭くて、でもすごく実用的な**「サバイバル術としての季節感」**です。

私が提案したいのは、「日本の行事を完璧に真似しよう」ということではありません。

皆さんが住んでいるその土地の、その日の天気や気候に、自分の体を**「チューニング(同調)」**させる感覚を持ってほしい、ということなんです。

例えば、私がやっているのはこんな些細なことです。

  • スーパーでの食材選び:「レシピに必要だから」ではなく、「今日一番安くて元気そうな野菜(=それがその土地の旬!)」をカゴに入れる。旬のものは栄養価が高く、その季節に必要なパワーをくれます。
  • 空の色を見る:夕方、空が暗くなってきたら、たとえ家事が残っていても「あ、自然が『もう店じまいだよ』って言ってるな」と思って、部屋の照明を少し落とす。
  • 自分の食欲を観察する:「夏バテで食欲がないな」と思ったら、無理にステーキを食べるのではなく、体が欲している冷たくて酸っぱいものを食べる。それは体が体温を下げようとしているサインだから。

これなら、ニューヨークに住んでいても、ロンドンに住んでいても、シンガポールに住んでいてもできますよね?

場所は違っても、私たちは同じ「地球」という環境の上に生きていて、同じ「人間」という動物です。

現代の主婦こそ「調和」が必要な理由

特に私たち主婦は、家族のスケジュールや仕事の締め切りなど、自分以外の「時間」に振り回されがちです。

子供の学校の時間、夫の帰宅時間、スーパーの特売時間……。

そうやって「社会の時間」に合わせてばかりいると、自分の体の中に流れている「自然の時間」が聞こえなくなってしまいます。

私がこのブログで発信したい「Harmonizing Our Modern Lives(現代生活との調和)」とは、田舎に移住して自給自足しよう!という極端な話ではありません。

スマホも使うし、冷凍食品にも頼るし、Netflixも見る。そんな現代的な生活を送りながらも、心の片隅に「自然のセンサー」を持っておくこと。

「今日は満月だから、なんだかイライラしやすいかも。だから子供に怒っちゃっても自己嫌悪にならなくていいや」

「今日はすごく寒いから、ジムに行くのはやめて、家でストレッチだけにしよう」

そんなふうに、外側の基準(こうすべき、こうあるべき)ではなく、内側の感覚と外の環境をすり合わせる作業。これこそが、日本の昔ながらの知恵であり、現代を生き抜くための最強のライフハックだと私は思っています。

これからお伝えすること

このあとの記事では、もっと具体的に「じゃあ、どうすればいいの?」というアクションプランをお話ししていきます。

  • 海外の食材でもできる、「体を整える食事」の選び方とは?
  • 日照時間や気温に合わせて、運動や睡眠をどうコントロールするか?
  • 「マインドフルネス」なんて難しい言葉を使わなくてもできる、日常の心の整え方

これらは決して「ルール」ではありません。「こうしなければならない」が増えると、それはまた新たなストレスになってしまいますから。

あくまで、皆さんが自分の体の声を聞くための「ヒント」や「きっかけ」になればいいなと思っています。

日本には**「中庸(ちゅうよう)」**という言葉があります。

偏りすぎず、バランスの取れた状態のことです。頑張りすぎず、怠けすぎず。デジタルすぎず、アナログすぎず。

その「ちょうどいい塩梅(あんばい)」を、私と一緒に探していきませんか?

季節の移ろいを感じることは、自分自身を大切にすることと同じです。

忙しい毎日の中で、ふと立ち止まって、窓の外の風を感じる。そんな小さな「余白」が、明日の皆さんの笑顔に繋がると信じています。

さあ、次は具体的な実践編です。

「食べる」ことと「動く」こと。明日からスーパーに行くのがちょっと楽しみになる、そんな魔法のようなお話をしましょう。

スーパーでできる身近な魔法。「食べる」と「動く」で自然とリンクする具体策

さて、ここからは実践編です。

「自然と調和する」なんて言うと、ヨガマットを敷いて瞑想しなきゃいけないの?と思われるかもしれませんが、そんな必要はありません。

私たちの生活の基本である**「食(食べる)」と「動(動く)」**。この2つをほんの少し、季節のチャンネルに合わせるだけでいいんです。

私が普段、神奈川の自宅で実践していること、そして海外に住む友人たちにもアドバイスしている「どこでもできる日本の知恵」をシェアしますね。

1. 「旬」を探すスーパーマーケットの歩き方

皆さんはスーパーに行った時、何を基準に食材を選んでいますか?

「今夜はカレーにしよう」と決めてから買い物に行くと、季節に関係なくジャガイモと人参と玉ねぎを買うことになりますよね。もちろん、それはそれでOKです。

でも、もし「自然のパワー」を取り入れたいなら、買い物のスタイルを少し変えてみましょう。

ルールは簡単。「一番山積みになっていて、一番安い野菜」を買うこと。

これが、その土地の「旬(しゅん)」を見つける一番確実なコンパスです。

日本には「初物(はつもの)」を好む文化がありますが、本当に体に良いのは、市場に出回って値段が下がってきた「盛りの時期」の野菜です。

  • なぜ「旬」がいいの?旬の野菜は、その季節を生き抜くためのエネルギー満タンの状態です。栄養価が高いのはもちろんですが、東洋医学(薬膳)の視点で見ると、もっと面白いことがわかります。
    • 春・夏の野菜(トマト、きゅうり、ナス、葉物など):水分が多く、体を内側から「冷やす」作用があります。暑い夏を乗り切るための天然のクーラーです。
    • 秋・冬の野菜(ごぼう、大根、人参、芋類など):水分が少なく、身が詰まっていて、体を「温める」作用があります。寒い冬を乗り切るための天然のカイロです。

海外在住の方へのヒント:

「日本の野菜が売っていない!」と嘆く必要はありません。

例えば、あなたがアメリカやヨーロッパに住んでいて、冬に「大根」が手に入らなくても、その土地の「冬の野菜」があるはずです。パースニップ(白人参)やビーツ、カブの一種などが、現地のスーパーで安く売られていませんか?

それが、その土地の気候で育った、今のあなたを温めてくれる「旬」です。

日本には**「身土不二(しんどふじ)」**という言葉があります。「体(身)と土地(土)は二つに分けられない」という意味です。

その土地で育った季節のものを食べることが、その土地の気候に体を適応させる一番の近道。

だから、無理に日本の食材を探し回るよりも、現地のファーマーズマーケットで泥付きの野菜を買う方が、実はとっても「日本的な養生」なんですよ。

2. 調理法も「衣替え」する

食材だけでなく、調理法にも季節があります。

  • 夏のアプローチ:暑い時は、さっと炒める、生で食べる、蒸すなど、**「火を使いすぎない」**調理法が合います。スパイスを使って発汗を促すのも、夏の日本の知恵(カレーや薬味など)ですよね。
  • 冬のアプローチ:寒い時は、コトコト煮込む、オーブンで焼くなど、**「じっくり火を入れる」**調理法に切り替えます。食材に熱エネルギーを閉じ込めて、それを食べることで体を温めるイメージです。

忙しい主婦の皆さんにおすすめなのが、これからの季節(冬)なら「スープ」です。

海外の硬い根菜類も、とりあえず鍋に入れてコトコト煮込んで、塩と少しのオイルで味付けすれば、立派な養生スープになります。

私はよく、これに生姜(ジンジャー)をたっぷり入れます。世界中どこでも手に入る生姜は、主婦の最強の味方です。

3. お日様がパーソナルトレーナー。「動」のメリハリ

次に「運動」についてお話ししましょう。

「健康のために毎日1万歩」「週3回ジムに通う」……そんな真面目な目標を立てて、挫折した経験はありませんか?

日本の自然観に基づくと、「一年中同じペースで運動する」というのは、実は少し不自然なんです。

なぜなら、日照時間が違うから。

  • 春夏(活動期):日が長く、自然界のエネルギーが外に向かって発散される時期。この時期は、少し汗ばむくらいの運動がおすすめです。朝早く起きてジョギングしたり、強度の高いワークアウトをするならこの季節。「発散」することで、体の中に熱がこもるのを防ぎます。
  • 秋冬(蓄積期):日が短く、自然界がエネルギーを内側に溜め込む時期。動物たちが冬眠するように、人間も代謝が落ち、少し静かなモードに入ります。この時期に、無理やり早起きして暗いうちから激しい運動をして汗をかきすぎると、必要なエネルギー(東洋医学でいう「気」)まで漏れ出てしまい、風邪を引きやすくなったり、春先に疲れが出たりします。

冬の運動の正解は「ゆるめる」こと。

激しい筋トレよりも、ストレッチやヨガ、ゆっくりとしたウォーキングがおすすめです。

特に海外の冬が厳しい地域(北欧やカナダ、アメリカ北部など)にお住まいの方は、冬は「太ってもいい時期」と割り切るくらいがちょうどいいんです。

少し脂肪がついている方が、寒さから内臓を守れますから。

「最近、ジムに行く気力が起きないな…」と思ったら、それはあなたが怠けているのではなく、体が**「今は冬眠モードだから、エネルギーを温存して!」**と言っているのかもしれません。

そんな時は、温かい部屋でYouTubeを見ながら、股関節をストレッチするだけで100点満点としましょう。

4. 現代版・自然とのチューニング術

食事と運動以外にも、日常のちょっとしたアクションで、狂ってしまった体内時計を自然のリズムに戻すことができます。

【朝:太陽の光を「食べる」】

朝起きたら、まずカーテンを開けて太陽の光を浴びてください。曇りの日でもOKです。

網膜に光が入ることで、体内時計がリセットされ、夜に眠くなるホルモン(メラトニン)の予約タイマーがセットされます。

私は、洗濯物を干す時の数分間、深呼吸をしながら「光を食べる」イメージで空を見上げています。これは時差ボケ解消にもなるので、海外を行き来する方には特におすすめです。

【夜:照明を「焚き火」にする】

日本の昔の家は、夜はとても暗いものでした。

現代の家は夜でも昼間のように明るいですが、これだと脳が「まだ昼だ!」と勘違いして、興奮状態が続いてしまいます。

夕食が終わったら、リビングの白い蛍光灯を消して、暖色系(オレンジ色)の間接照明やキャンドルに切り替えてみてください。

「焚き火」のような優しい光の中で過ごすと、自然と副交感神経が優位になり、体が「おやすみモード」に入ります。

スマホを見るなら、画面の明るさを一番下げて。

【衣服:頭寒足熱(ずかんそくねつ)】

これは日本の健康法の基本中の基本です。

「頭は涼しく、足元は温かく」。

冬はもちろんですが、夏でも冷房の効いた室内ではこれが重要です。

上半身は薄着でもいいので、足首だけはレッグウォーマーで守る。お腹には腹巻をする。

特に女性は、子宮などの大切な臓器がお腹周りにあるので、「お腹と足首」さえ温めておけば、自律神経が整いやすくなります。海外では「ハラマキ」は売っていないかもしれませんが、薄手のキャミソールを重ねるだけでも違いますよ。

体の声を聞く練習: “What do I want?”

ここまで色々な「知恵」をお話ししましたが、一番大切なルールを最後にお伝えします。

それは、**「自分の感覚を信じること」**です。

情報番組で「トマトが健康にいい!」と言っていても、スーパーでトマトを見て「なんか今日はいらないな」と思ったら、買わなくていいんです。

逆に、冬だけど「無性にアイスクリームが食べたい!」と思ったら、暖房の効いた部屋で少しだけ食べたっていいんです(体が内側に熱を持っていて、冷やしたがっているサインかもしれません)。

私たちは毎日、頭で考えがちです。

「これはカロリーが高いから」「これはビタミンCだから」。

でも、たまにはそのラベルを見るのをやめて、自分の胃袋に問いかけてみてください。

「ねえ、今、本当は何が食べたい?」

その答えが、今のあなたの体に一番必要な「処方箋」であることが多いのです。

さて、こうして「食」と「動」で体を自然に近づけていくと、不思議なことに心にも変化が現れます。

「完璧じゃなくてもいいか」「今日はこれでいいか」という、いい意味での「ゆるさ」が生まれてくるんです。

次回は、この**「心の持ち方」**についてお話しします。

真面目な日本人の私たちが陥りがちな「丁寧な暮らしの呪縛」を解いて、もっと自由に、もっと楽に生きるためのマインドセット。

海外で頑張りすぎているあなたにこそ、伝えたいお話です。

完璧じゃなくていい。「ゆるさ」こそが、長く続けるための最大の秘訣

ここまで読んでくださった皆さんの中には、もしかしたらこんな風に感じている方がいるかもしれません。

「旬の野菜を選んで、調理法を変えて、太陽を浴びて……なんだかやることが多くて大変そう」

「海外でワンオペ育児中なのに、そんな丁寧なことやってられない!」

その気持ち、痛いほどわかります!

実は、ここからが今日一番言いたかったことです。

日本の自然と調和する暮らしにおいて、最も重要なエッセンス。

それは、**「完璧を目指さない」**ということです。

1. 「丁寧な暮らし」の呪縛を解く

日本には最近、Instagramなどを中心に「丁寧な暮らし」という言葉が流行っています。

曲げわっぱのお弁当箱、手作りの梅干し、季節の花を飾った玄関……。とても素敵ですよね。

海外の方も、こうした日本の美学に憧れを持ってくださっているかもしれません。

でも、ぶっちゃけて言います。

私たち日本の主婦も、毎日あんなことはしていません!(笑)

私もかつては、「良き日本の主婦」になろうとして、無理をした時期がありました。

梅雨の時期に張り切って「梅仕事(梅干しや梅酒作り)」をしようとして、カビさせてしまって落ち込んだり。

「出汁(だし)は鰹節から取らなきゃ!」と意気込んで、疲れてイライラして夫にあたってしまったり。

これって、本末転倒ですよね。

「自然と調和する」というのは、**「無理のない自分でいる」**ということです。

自分がイライラして不自然な状態になっているのに、食事だけオーガニックにしても意味がありません。

ママの笑顔が消えるくらいなら、出汁なんて顆粒だしでいいし、梅干しはスーパーで買えばいいんです。

日本の昔の人たちだって、みんながみんな聖人のような暮らしをしていたわけではありません。

「今日はしんどいから、お茶漬けだけで寝よう」という日もたくさんあったはずです。

2. 日本の最強のマインドセット「ハレとケ」

ここで、皆さんに知ってほしい日本の大事な概念があります。

それは**「ハレ(Hare)」と「ケ(Ke)」**という考え方です。

  • ハレ(晴れ): お祭り、結婚式、お正月などの「特別な日」。非日常。
  • ケ(褻): なんでもない日常。普段の日。

現代の私たちが苦しいのは、SNSやメディアが「ハレ」ばかりを見せるからです。

豪華な「一汁三菜(ご飯、スープ、おかず3品)」の和食は、本来はお客さんが来た時やお祝いの時の「ハレ」の食事です。

昔の農民の「ケ」の食事なんて、ご飯と味噌汁と漬物だけ、という質素なものでした。

海外で暮らす皆さんも、「毎日をスペシャルにしなきゃ」と思っていませんか?

毎日、栄養バランス完璧なディナーを作らなきゃ。毎日、家をモデルルームみたいに片付けなきゃ。

それは、毎日「お祭り(ハレ)」をやろうとしているようなものです。そりゃあ疲れますよね。

「今日は『ケ』の日だから、適当でいいや」

そう割り切ってみてください。

「ケ」の日は、同じメニューの繰り返しでもいいし、掃除をサボってもいい。

その代わり、週末や誕生日という「ハレ」の日だけ、ちょっと頑張って季節の花を飾ったり、ご馳走を作ったりする。

この**「リズム(メリハリ)」**をつけることこそが、日本的な自然との調和です。

ずっと高いテンションで走り続けるのは、自然界の法則に反します。波があっていいんです。

3. コンビニも冷凍食品も、現代の「恵み」

「自然派」というと、加工食品やコンビニを敵対視する人がいますが、私はそうは思いません。

日本には**「清濁併せ呑む(せいだくあわせのむ)」**という言葉があります。

清らかなものも、濁ったものも、両方受け入れる度量の広さを表す言葉です。

現代に生きる私たちは、忙しいです。

どうしても料理が作れない日、疲れ切って動けない日。そんな時に頼れる冷凍食品やデリバリーは、現代社会がくれた「助け船」です。

それに感謝して使えば、それは立派な「調和」です。

一番良くないのは、「罪悪感(Guilt)」というスパイスをかけて食べること。

「あぁ、またピザを頼んでしまった…私はダメな母親だ…」と思いながら食べると、どんなに美味しいものでも、体にとっては毒になります(消化にも悪そうですよね)。

それよりも、

「今日は疲れている私を休ませるために、ピザ屋さんが助けてくれた!ありがとう!美味しい!」

と笑顔で食べる。

不思議なことに、「美味しい!」と心から思って食べたものは、ちゃんとエネルギーになります。

添加物がどうこう気にするよりも、この「心の持ちよう」の方が、健康にはよっぽど影響が大きいと、私はこれまでの経験から確信しています。

自分の体の声を聞いて、「今日は手抜きが必要だ」と判断したなら、それは正しい選択なんです。

4. 「わび・さび」を自分自身に向ける

最後に、もう一つだけ日本の美意識を。

皆さんも聞いたことがあるかもしれない**「わび・さび(Wabi-Sabi)」**。

これは、古びたものや、不完全なものの中に美しさを見出す心です。

これを、お茶碗や庭石だけでなく、**「自分自身」**に向けてみてほしいのです。

  • イライラしてしまう未熟な自分。
  • 家事が完璧にできない不完全な自分。
  • 歳をとってシワが増えてきた自分。

これらを「ダメだ」と否定して、若作りしたり、完璧を目指して矯正しようとするのではなく、

「まあ、これも味があるよね」

「今日の私はちょっと凹んでるけど、それも人間らしくていいか」

と、面白がってみる。

自然界に、定規で引いたような真っ直ぐな線が存在しないように、私たち人間も、歪んでいたり、曲がっていたりするのが自然です。

「不完全であることを許す」。

これができた時、本当に意味で肩の力が抜け、本当の意味での「リラックス」が訪れます。

海外での生活は、言葉の壁や文化の違いで、どうしても緊張の連続だと思います。

「ちゃんと適応しなきゃ」「迷惑かけないようにしなきゃ」と、体が縮こまっていませんか?

だからこそ、家の中では、そして自分に対してだけは、とことん「ゆるく」あってください。

日本人の私が保証します。

ズボラで、適当で、笑ってごまかす。そんな「隙(すき)」のある人の方が、結果的に長く健康で、周りも幸せにできるんです。


さあ、ここまでくれば、もう難しいことは何もありません。

季節を感じ(起)、

できる範囲で食べたり動いたりして(承)、

できない自分も笑って許す(転)。

これが、私が提案したい「現代版・自然と調和する暮らし」の全貌です。

最後に、このブログの締めくくりとして、

世界中のどこにいても、あなたがあなたらしく咲くためのメッセージをお届けします。

海を越えて、日本の風をあなたの街へ。

海を越えても繋がれる。あなただけの「季節の楽しみ方」を見つけよう

ここまで長い間、私の話にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

神奈川の小さなリビングから始めたこのお話が、海を越えて、世界のどこかで頑張るあなたの元に届いていると思うと、なんだかとても不思議で、温かい気持ちになります。

最後にお伝えしたいのは、**「場所は関係ない」**ということです。

そして、これからの人生を、あなた自身がもっと自由にデザインしていけるということです。

1. 日本にいなくても、「日本の心」は実践できる

「日本のような四季がない国に住んでいるから、季節感なんて味わえない」

「ずっと夏のような気候だから、情緒がない」

海外に住む方から、そんな悩みを聞くことがあります。

確かに、日本の四季は美しいです。桜が咲き、紅葉が燃え、雪が降る。その移ろいは本当にドラマチックですよね。

でも、「自然」は世界のどこにでもあります。

赤道直下の国にも、雨季と乾季というリズムがあります。

極寒の地にも、氷が少しだけ緩む「春の気配」があるはずです。

大都会の真ん中にだって、ビル風の強さや、街路樹の葉の色、空の高さの変化は必ずあります。

私がこのブログシリーズでお伝えしたかった「自然と調和する暮らし」の本質は、日本のカレンダーをなぞることではありません。

あなたが今住んでいるその場所の、その土地ならではの「自然の息吹」を見つけること。

それが、あなただけの「現代版・二十四節気」を作ることになるのです。

もしあなたが南半球に住んでいて、真夏のクリスマスを迎えているなら、それはそれで素晴らしい「季節」です。

「日本では冬至にかぼちゃを食べるけど、ここは暑いから冷たいスイカを食べよう!」

そうやって、日本の知恵(旬を食べる)を、現地の気候(暑さ)に合わせて変換する。

これこそが、最強の**「グローバルな和の暮らし」**ではないでしょうか?

2. 「もののあわれ」をポケットに入れて

日本には古くから**「もののあわれ(Mono no aware)」**という言葉があります。

散りゆく桜や、変わりゆく季節を見て、「ああ、綺麗だな、でも切ないな」と深く心を動かす感情のことです。

これは、永遠に続くものなどない、という無常観を知っているからこその美意識です。

海外での生活は、時に孤独で、大変なことも多いでしょう。

言葉が通じなくて悔しい思いをした日。

日本の家族が恋しくて泣きたくなった日。

子供の成長があっという間で、少し寂しくなった日。

そんなふうに心が揺れ動くこと自体が、実はとても人間らしく、美しいことなのだと、日本の文化は教えてくれています。

「もののあわれ」を知っている私たちは、悲しみの中にさえ、人生の深みや美しさを見つけることができるはずです。

辛いことがあった日は、ふと空を見上げてみてください。

「あ、今日の月はすごく綺麗だな」

そう思えたなら、あなたの心はまだ大丈夫。自然と共鳴するアンテナは錆びついていません。

その小さな感動が、明日を生きるための、一番の栄養剤になります。

3. 私たちは同じ空の下にいる

最後に、私のお気に入りの考え方をシェアさせてください。

私は日本で夕飯の準備をしながら、ふと「あ、今頃ロンドンの友達は朝ごはんかな?」「ニューヨークのあの子はもう寝たかな?」と想像することがあります。

時差はあるけれど、私たちは間違いなく、同じ一つの大きな「地球」という星の上で、クルクルと回っています。

あなたが海外のどこかで、スーパーの野菜売り場で「お、これが今日の旬かな?」と手に取ったその瞬間。

あなたが公園のベンチで、「風が少し冷たくなってきたな」とカーディガンを羽織ったその瞬間。

あなたは遠く離れた日本の、昔の人たちの知恵と、そして今日本で暮らす私と、目に見えない糸で繋がっています。

あなたは一人ではありません。

自然という大きなゆりかごの中で、私たちはみんな一緒に生かされています。

だから、どうか焦らないで。

あなたのペースで、あなたの住む街の風を感じてください。

体からのサイン(ダルい、眠い、お腹空いた)は、あなたを守ろうとする愛のメッセージです。それを無視せず、「はーい、了解!」と受け止めてあげてください。

4. 今日から始まる、あなたらしい物語

さあ、スマホを置いて、ちょっと窓を開けてみませんか?

今、あなたの街にはどんな風が吹いていますか?

どんな鳥の声が聞こえますか?

それが、あなたの「今」です。

過去の後悔でもなく、未来の不安でもなく、ただそこにある確かな「今」を感じること。

それさえできれば、どんなに忙しい現代社会の中でも、私たちは自分を見失わずに生きていけます。

「頑張りすぎない、でも諦めない」

「丁寧じゃなくていい、でも大切にする」

そんな**「いい加減(=良い加減)」**な日本の主婦の知恵が、あなたの海外生活をほんの少しでも楽に、そして豊かにするスパイスになれば、こんなに嬉しいことはありません。

また、季節が巡った頃に、このブログでお会いしましょう。

日本から、溢れんばかりの愛とエールを込めて。

今日も、あなたの食卓が笑顔で溢れますように。

いってらっしゃい!そして、おかえりなさい。

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