【日本の知恵】晩秋の静けさを味方に。心を整える「冬支度」という小さな儀式

忍び寄る冬の足音と、私たちが大切にしている「季節の節目」の感覚

みなさん、こんにちは。日本に住む主婦の私から、海を越えてこのブログを読んでくださっているあなたへ。

今、あなたが住んでいる場所はどんな季節ですか?

私が住んでいる日本(特に関東地方)は今、まさに秋が深まり、冬の気配が少しずつ、でも確実に近づいてきている時期です。日本語ではこの時期を「晩秋(ばんしゅう)」や「初冬(しょとう)」と呼びます。

今日は、そんな季節の変わり目に、私が毎年大切にしている「ある習慣」についてお話ししたいと思います。それは、忙しい毎日の中で自分を見失わないための、日本的な生活の知恵でもあります。

1. 日本の空気が変わる瞬間

日本には「四季」があることは有名ですが、実はもっと細かく分けると「二十四節気(にじゅうしせっき)」という季節の区分があります。今の時期は、ちょうど「小雪(しょうせつ)」と呼ばれる頃。北国から雪の便りが届き始めるけれど、まだ本格的な冬ではない、そんな時期です。

この時期の日本の空気感、伝えられるでしょうか。

朝、窓を開けた瞬間に肌に触れる空気が、昨日までとは明らかに違うんです。「冷たい」というよりは、「凛(りん)としている」という言葉がぴったり。湿度が下がり、空が高く遠くなり、夕方4時半を過ぎると急に世界が藍色に染まっていきます。

日本の主婦にとって、この「光の変化」は生活の合図です。

夏の間は夕方6時過ぎまで明るくて、「まだ家事ができる、まだ動ける」と自分を追い立ててしまいがちですが、日が短くなると、自然と「あ、もう休む時間に向けて準備をしなきゃ」というスイッチが入るんです。

昔の人はよく言ったもので、「秋の日は釣瓶(つるべ)落とし」と言います。井戸の桶がストンと落ちるように、あっという間に日が暮れるという意味です。この急速に訪れる暗闇に対して、海外の方はどう感じますか? 少し寂しい気持ちになるでしょうか。

実は私も以前は、冬に向かうこの時期の暗さや寒さが苦手でした。「あぁ、また寒い冬が来るのか」「活動できる時間が短くなる」と、ネガティブに捉えていたんです。でも、ある時、近所に住む年配の女性(私たちは親しみを込めて「人生の先輩」と呼びます)が、こんなことを教えてくれました。

「冬はね、根っこを育てる時間なのよ。植物も冬の間は枯れたように見えるけれど、土の中で一生懸命に根を伸ばして、春の準備をしているでしょう? 人間も同じ。外に向かって活動するのを少し控えて、自分の内側(家の中や心の中)を温めて育てる時期なのよ」

この言葉を聞いてから、私の冬に対する見方がガラリと変わりました。

「寒くて嫌だ」ではなく、「内側を充実させるチャンス」だと捉えるようになったのです。

2. 「なんとなく」を「儀式」に変える

海外で主婦をされているみなさんも、きっと毎日は戦場のように忙しいですよね。家事に仕事、子育て、パートナーとの関係…。やることリスト(To-Do List)は減るどころか増える一方。そんな中で、季節の変化なんて「天気のチェック」程度にしか意識しないことも多いかもしれません。

でも、日本には古くから「ハレ(非日常)」と「ケ(日常)」という考え方があります。そして、日常(ケ)の中に、季節ごとの小さなイベントや習慣を取り入れることで、生活にメリハリをつけるのがとても上手なんです。

私はこれを「季節の儀式(Seasonal Rituals)」と呼んでいます。

儀式といっても、宗教的な難しいものではありません。生活の中のちょっとした行動に、「季節への挨拶」という意味を持たせるのです。

例えば、私の家では11月の終わりになると、「こたつ」という暖房器具を出します。ご存知の方もいるかもしれませんね。低いテーブルに布団をかけ、中に熱源がある、あの魔法のテーブルです(一度入ると出られなくなるので、私たちは「人をダメにする家具」なんて冗談で呼んだりします)。

ただ単に「寒いからヒーターを出す」のではありません。

天気の良い週末を選び、窓を全開にして家中の空気を入れ替え、夏の間使っていたラグを片付け、冬用の厚手のカーペットを敷き、こたつ布団をふかふかになるまで天日干ししてからセットする。

この一連の作業を、私は一種の神聖な「儀式」として捉えています。

掃除機をかけながら、「今年の夏も家族を守ってくれてありがとう」と部屋に感謝し、新しい冬の設え(しつらえ)を整えながら、「この冬も家族が温かく健康で過ごせますように」と願いを込める。

そうやって環境を整えると、不思議なことに、バタバタしていた心がスーッと落ち着いていくのを感じます。物理的な「部屋の模様替え」が、精神的な「心の衣替え」になるのです。

3. 現代人が忘れている「静寂」の力

世界中どこにいても、現代社会は「速さ」と「効率」を求めすぎていると思いませんか?

SNSを開けば誰かのキラキラした生活が目に入り、「もっと頑張らなきゃ」「もっと生産的でなきゃ」と焦らされる。特に年末が近づくと、「今年もあと少ししかない!」というプレッシャーが押し寄せてきます。

でも、日本の茶道や禅(ZEN)の教えには、「静寂」や「間(Ma)」を大切にする文化があります。何もしない時間、ただ静かにお茶を飲む時間、季節の移ろいを感じる時間。それらは決して「無駄な時間」ではなく、次の活動のためのエネルギーを蓄える、最も贅沢で必要な時間だとされています。

私が提案したい「Cultivating Seasonal Rituals(季節の儀式を育むこと)」の核心はここにあります。

大きな変化を求める必要はありません。高価なものを買う必要もありません。

ただ、今の季節(晩秋から初冬)が持つ「静かなエネルギー」に波長を合わせ、生活のスピードを少しだけ落としてみること。

「そんな優雅な時間、私にはないわ!」という声が聞こえてきそうですね(笑)。わかります、私も以前はそう叫んでいましたから。

でも、これからお話しする「小さなシフト(Small Shifts)」は、忙しい主婦の日常の中にこそ溶け込む魔法のようなものです。

例えば、夕食作りの時間を「義務」から「瞑想」に変えるスロークッキング。

夜のリビングの照明を少し落として、「居心地の良さ(Cozy)」を追求する工夫。

そういった小さな積み重ねが、驚くほど大きな心の平穏と、結果としての「生産性」や「回復力(Resilience)」に繋がっていくのです。

日本人が昔から大切にしてきた、「自然と共生する」という感覚。

それは、自然をコントロールしようとするのではなく、自然のリズムに自分の身を委ねるという生き方です。寒くなったら身を寄せ合い、温かいものを食べ、夜は長く眠る。そんな当たり前のことが、現代の私たちには一番必要な「セルフケア」なのかもしれません。

これから始まるブログ記事の続きでは、私が実践している具体的な「小さな儀式」たち——煮込み料理の香りに包まれる夕暮れや、自分自身と向き合うジャーナリングの時間など——をご紹介していきます。

日本の主婦が、どのようにして日常の中に「禅」のような静けさと、明日への活力を生み出しているのか。その秘密を、私の失敗談や実感を交えながら紐解いていきましょう。

さあ、温かいお茶(もしあれば、日本の緑茶かほうじ茶がおすすめです)を用意して、リラックスして読み進めてくださいね。

冬の入り口に立つ今、あなたの心を温めるヒントがきっと見つかるはずです。

時間を味方につける魔法。日本の冬の「スローな夜」の作り方

【起】では、冬の訪れをネガティブなものではなく、「自分自身の根っこを育てる時間」として捉え直すマインドセットについてお話ししました。

ここからは、私が日本の生活の中で実践している、具体的な「夜の過ごし方」をご紹介します。

海外に住んでいると、日本の食材や環境を完全に再現するのは難しいかもしれません。でも大丈夫。大切なのは「何を使うか」ではなく、「どんな心持ちで過ごすか」というエッセンスです。

1. 「コトコト」という音の癒し:スロークッキングの魔法

冬の夕方、私がキッチンに立つときに一番大切にしているオノマトペ(擬音語)があります。

それは、「コトコト(Koto-Koto)」です。

日本の冬の料理といえば、なんといっても「鍋料理(Nabe / Hot Pot)」や「煮込み料理」です。

忙しい現代の主婦にとって、料理は「時短(Jitan – saving time)」が正義とされがちです。電子レンジで数分、フライパンで強火で一気に…それも確かに助かる技術です。でも、冬の夜だけは、私はあえて時間をかけることを選びます。

時間をかけると言っても、私がずっとコンロの前に立っているわけではありません(笑)。

例えば、日本には「おでん(Oden)」という代表的な冬の煮込み料理があります。大根、卵、こんにゃくなどを、出汁(Dashi)で長時間煮込む料理です。

この料理の素晴らしいところは、「待つことが仕事」だという点です。

夕方、まだ明るいうちに鍋に材料とたっぷりの出汁を入れ、ごく弱火にかけます。あとは、鍋にお任せ。

家の中に少しずつ、鰹節や昆布の優しい香りが満ちてきます。そして、鍋の中から微かに聞こえる「コトコト…」という音。この音が、家全体に「今は急がなくていい時間だよ」「ゆっくりしていいんだよ」というBGMを流してくれているような気がするのです。

私はこれを「香りを使った結界(Kekkai – barrier)」と呼んでいます。

外の世界の喧騒や、日中のストレスを、出汁の湯気が優しく遮断してくれる。家族が帰宅してドアを開けた瞬間、「わあ、いい匂い」と言って肩の力が抜ける。その瞬間を見るのが大好きです。

海外にお住まいの皆さんも、ぜひこの時期はスープやシチューを、いつもより低い温度で、ゆっくり煮込んでみてください。

「早く作らなきゃ」という焦りを手放し、「美味しくな〜れ」と鍋に語りかける余裕を持つこと。

不思議なことに、弱火でじっくり煮込んだ野菜は、強火で急いで煮たものよりも、芯まで味が染みて甘く、柔らかくなります。これって、私たちの心や人間関係にも似ていると思いませんか? 強い圧力で急いで結果を求めるよりも、温かい環境で時間をかけた方が、物事は深く、豊かに成熟していくものです。

2. 照明を落として「陰翳(いんえい)」を楽しむ

料理が「コトコト」と音を立てている間、次に行う儀式は「光の調整」です。

日本の古い家屋は、薄暗いのが当たり前でした。文豪・谷崎潤一郎は『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』というエッセイの中で、日本の美は暗がりの中にあると説きました。

現代の日本もコンビニやオフィスは煌々と明るいですが、家でのリラックスタイムには、この「暗さ」を取り戻すことが大切だと感じています。

夕食の準備が整い始める頃、私はリビングのメインの照明(天井についている大きな電気)を消します。その代わりに、温かい色の間接照明や、キャンドルをいくつか灯します。

蛍光灯の白くて強い光は、脳を覚醒させて「活動モード」にしてしまいます。逆に、夕日のようなオレンジ色の低い位置からの光は、副交感神経を優位にし、体を「休息モード」へと切り替えてくれます。

この薄暗い空間でお鍋を囲むと、不思議な効果が生まれます。

明るい部屋では見えすぎていた「散らかった部屋の隅っこ」や「溜まった洗濯物」が、闇に溶けて見えなくなるのです(これ、主婦にとっては最高のメリットです!)。

視覚情報が減ることで、目の前の食事や、家族の表情、会話の声に集中できるようになります。

「ねえ、今日は学校でこんなことがあったよ」

薄暗がりの中だと、子供も夫も、普段は話さないような本音をポツリポツリと話してくれることがあります。キャンプファイヤーを囲んでいる時と同じ心理効果かもしれませんね。

冬の長い夜、暗さを「寂しい」と感じるのではなく、「親密さを育むブランケット」として楽しむ。これも、日本の冬の知恵です。

3. 「湯治(Toji)」気分のバスタイム

食事と団欒のあと、日本人が絶対に欠かせない儀式がお風呂です。

海外ではシャワーで済ませることも多いと聞きますが、日本の主婦にとってお風呂は、単なる「体を洗う場所」ではありません。それは「禊(Misogi)」、つまり一日の疲れやネガティブな感情を洗い流し、生まれ変わるための聖域です。

特に冬場は、お湯に「柚子(Yuzu)」という柑橘類を浮かべる「柚子湯」の習慣があります。

黄色い柚子が湯船にプカプカと浮かび、爽やかな香りが浴室いっぱいに広がる…想像するだけで深呼吸したくなりませんか? 柚子の皮に含まれる成分は血行を促進し、体を芯から温めてくれます。

もちろん、海外で柚子を手に入れるのは難しいかもしれません。そんな時は、お気に入りのバスソルトやエッセンシャルオイルで代用してください。

大切なのは、「ただお湯に浸かる」のではなく、「自分のためだけの時間を持つ」という意識です。

私は湯船に浸かりながら、こんな風にイメージします。

「私の体は今、冷えて硬くなったお餅みたい。お湯の中でゆっくりと溶けて、柔らかくなっていく…」

肩の力が抜け、眉間のシワが伸び、呼吸が深くなる。

お風呂の中でスマホを見るのは禁止です。ただ、お湯の温かさと水の音だけを感じる。これは、誰でもできる、最も簡単なマインドフルネス(瞑想)の実践です。

日本には「頭寒足熱(Zukan-Sokunetsu)」という健康法があります。頭は涼しく、足元(体)は温かく。こうすることで、気や血液の巡りが良くなり、深い眠りにつくことができます。

お風呂上がりに、温まった体で冷たい空気に少し触れる瞬間の心地よさ。これもまた、冬ならではの楽しみです。

4. 小さなシフトが生む「余白」

スロークッキング、照明のトーンダウン、丁寧なバスタイム。

これらは一つ一つ見れば、些細なことです。

「そんなことしたって、明日の忙しさは変わらないじゃない」と思われるかもしれません。

確かに、現実は変わりません。明日の朝もまた、お弁当作りや仕事が待っています。

でも、夜の数時間だけ意識的にペースを落とし、五感を満たす「儀式」を行うことで、私たちの「回復力(Resilience)」は劇的に変わります。

自分を機械のように扱い、燃料切れになるまで走らせるのではなく、丁寧にメンテナンスをして、オイルを差して休ませる。

そうすることで、翌朝の目覚めが変わり、家族にかける第一声が変わり、一日を乗り切るエネルギーが湧いてきます。

「丁寧な暮らし」とは、高価な道具を揃えることでも、完璧な家事をすることでもありません。

自分の心が「心地いい」と感じる瞬間を、一日の中に意識的に作り出すこと。

それが、私が日本の四季から学んだ、一番の「人生術」です。

さて、体も心も温まってきましたね。

家の中は静まり返り、外は冷たい風が吹いていることでしょう。

この静かな夜の時間、私はもう一つ、自分自身と向き合うための大切な儀式を行っています。

それは、「書くこと」です。

次の章【転】では、私が毎晩行っている「Reflective Journaling(振り返りのジャーナリング)」について、そしてそれがどのように私の人生観を変えてくれたのか、少し深いお話をさせていただきます。

静寂は「心の鏡」。書くことで見つける、しなやかな強さ

【承】では、温かい料理やお風呂で「体」と「五感」を緩めるお話をしました。

体が温まり、家族が寝静まった夜10時。リビングには、私ひとり。

ここからが、私の「冬の儀式」のハイライトであり、最も重要な時間です。

それは、自分自身と対話する「書く時間(Reflective Journaling)」です。

正直に告白しますね。

私は以前、この「静かな時間」が怖かったんです。

動き回っている間は気が紛れますが、ふと立ち止まると、不安や焦り、自己嫌悪といったネガティブな感情が、冷たい隙間風のように心に入り込んでくるような気がして。だから、わざと忙しくして、自分の心の声を聞こえないフリをしていました。

でも、ある冬、私は無理がたたって体調を崩し、強制的にストップさせられました。

いわゆる「燃え尽き(Burnout)」です。

その時、動けなくなったベッドの中で気づいたんです。

「冬の木々は、なぜ葉を落とすのだろう?」と。

1. 「手放す」ことへの恐怖と、その先にあるもの

日本には美しい紅葉の季節がありますが、その後、木々は葉をすべて落とし、丸裸の状態で冬を越します。

以前の私は、その姿を「寂しい」「終わってしまった」と思っていました。

でも、実は違うんですよね。

木々は、冬の寒さと乾燥から身を守るために、エネルギーの消耗を防ぐために、あえて葉を落としているのです。それは「敗北」ではなく、春に新しい芽を出すための、賢明で力強い「戦略的撤退」です。

私たち人間も同じです。

常に満開の花を咲かせ、青々とした葉を茂らせ続けることはできません。

特に冬は、余計なものを「手放す(Letting go)」時期。

私がノートを開くのは、心の中に溜まった「落ち葉」——つまり、未消化の感情や、抱え込みすぎた責任、他人への嫉妬や自己否定——を、文字にして外に出し、手放すためです。

海外の書店でも、日本の「手帳(Techo)」コーナーが人気だと聞いたことがあります。

実は日本人は、世界でも有数の「手帳好き」なんです。11月頃になると、書店には来年の手帳が山のように並びます。私たちにとって手帳は、単なるスケジュール管理ツールではありません。

それは「未来の自分との約束の書」であり、「過去の自分を受け入れる場所」なのです。

2. ペン一本でできる「心のデトックス」

では、具体的に私が冬の夜に何を書いているか。

難しいルールはありませんが、私のメソッドを少しシェアしますね。これは「心の棚卸し(Inventory of the Heart)」です。

温かいハーブティー(または白湯)を横に置き、お気に入りのペンとノートを用意します。

スマホは別の部屋に置きます。これ、絶対です。デジタルのノイズは、内なる声をかき消してしまいますから。

ステップ1:泥を吐き出す(Brain Dump)

まず、頭に浮かんでいることを、脈絡なく書き殴ります。

「疲れた」「明日の会議が憂鬱」「なんで夫は靴下を脱ぎっぱなしにするの!」…なんていう愚痴も全部(笑)。

きれいな言葉で書こうとしなくていいんです。

誰にも見せないのですから、汚い言葉でもOK。

不思議なことに、モヤモヤとした感情は「文字」という物理的な形に変換されると、自分から切り離されて、客観視できるようになります。

「ああ、私、怒ってるんだな」「私、頑張りすぎて疲れてたんだな」と認めてあげるだけで、心の重荷が半分になります。

ステップ2:あるものに光を当てる(Gratitude)

出し切ってスッキリしたら、次は「あるもの」に目を向けます。

冬は日が短く、どうしても「足りないもの」や「暗い部分」に目が行きがちです。

だからこそ、意識的にスポットライトの向きを変えます。

「今日、空がきれいだった」

「子供が『おいしい』と言ってくれた」

「温かいお風呂に入れた」

どんなに小さなことでもいいので、3つ書き出します。

これを続けていると、脳が「幸せ探し」の達人になっていきます。

「幸せだから感謝する」のではなく、「感謝するから幸せを感じられる」という順序に気づくはずです。

ステップ3:春に向けた種まき(Planting Seeds)

最後に、少しだけ未来のことを考えます。

「来年の春、どんな自分になっていたい?」

「この冬の間に、どんな本を読みたい?」

大きな目標でなくていいんです。「週末にあのカフェに行きたい」といった小さな楽しみの種を、ノートという土壌に撒いておくのです。

3. 「しなやかさ」という本当の強さ

この「書く儀式」を続けていて、私が得た最大のギフトは「レジリエンス(回復力)」です。

かつて私は、強さとは「岩のように動じないこと」だと思っていました。

だから、辛くても歯を食いしばって耐えていました。

でも、冬の雪国には「竹」のような強さが必要です。

竹は、雪が積もるとその重みでしなります(Bend)。地面につきそうなくらい曲がります。

でも、折れません。

雪が滑り落ちると、バヨーン!とまた元の真っ直ぐな姿に戻ります。

書くことは、心を「しならせる」トレーニングです。

自分の弱さを認め、辛さを書き出し、一時的にしなる。

そうやってガス抜きをすることで、ポキッと折れてしまうのを防ぐことができるのです。

冬の静寂(Quiet Energy)は、私たちを孤独にするためにあるのではありません。

私たちを「自分自身」に戻してくれるためにあるのです。

外の世界が静かになる分、自分の内側の声がよく聞こえるようになります。

忙しい主婦のみなさん。

「何もしていない時間」を恐れないでください。

「生産的でない時間」を責めないでください。

土の中でじっとしている球根は、何もしていないように見えて、中で生命力を爆発させる準備をしています。

冬の間の休息、内省、そして「何もしないこと」こそが、次の季節に美しく咲くための、最も生産的な活動なのです。

このブログを読んでくださっているあなたも、今夜はテレビを消して、ノートを広げてみませんか?

完璧な文章じゃなくていい。

ただ、「今日の私、お疲れ様」と書くだけでも、それは立派な儀式です。

自分の弱さを抱きしめる静かな夜を過ごした私たちは、やがて来る朝を、そして春を、より鮮やかに迎えることができます。

さて、いよいよこのブログも最後です。

【結】では、これらの小さな儀式(Small Shifts)をどうやって継続し、あなたの人生の「新しい当たり前」にしていくか、最後のメッセージをお届けします。

春を待つ時間は、人生を愛おしむ時間。完璧でなくていい、あなたらしい冬を

ここまで、長い物語にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

【起】で冬の到来を「根っこを育てる時間」と捉え直し、【承】で五感を温める「スローな夜」を楽しみ、【転】で書くことによる「心のデトックス」を行ってきました。

今、読み終えたあなたの心の中に、ほんの少しでも「静かな温かさ」が灯っていたら、とても嬉しいです。

最後に、これらの一連の「季節の儀式」が、私たちの人生にもたらす本当の価値と、明日から無理なく続けるためのヒントをお伝えして、このブログを締めくくりたいと思います。

1. 「小さなシフト」が起こすバタフライ・エフェクト

今回のテーマである「Small Shifts, Big Impact(小さなシフト、大きな影響)」。

正直なところ、お鍋をゆっくり煮込んだり、お風呂に柚子を浮かべたり、ノートに愚痴を書いたりすること自体は、世界を変えるような大きな行動ではありません。

でも、この「小さなシフト」の積み重ねは、確実に「あなた」を変えます。

そして、お母さんであり、妻であり、一人の女性である「あなた」が変わることは、家庭全体の空気を劇的に変える力を持っています。

私が実践していて気づいたことがあります。

私が自分自身を丁寧に扱い(Treat myself with care)、心に余裕を持つようになると、不思議と家族に対しても寛容になれるのです。

以前ならイライラしていた子供の失敗に、「まあ、いいか」と笑って返せるようになる。

夫の些細な言動に過剰に反応せず、受け流せるようになる。

家庭というのは、母親の感情がそのまま天気のように反映される場所です。

お母さんが「我慢」や「自己犠牲」で眉間にシワを寄せている冬は、家の中も吹雪です。

でも、お母さんが自分を満たし、穏やかな灯りのように微笑んでいる冬は、外がどんなに寒くても、家の中はポカポカとした春のような場所になります。

あなたが自分のために行う「小さな儀式」は、決して利己的なものではありません。

それは、家族みんなの笑顔を守るための、最も尊い「愛の行動」なのです。

2. 「三日坊主」でもいい。何度でも始めればいい

さて、ここで日本の面白い言葉を紹介しましょう。

新しい習慣を始めようとしても、すぐに飽きてやめてしまう人のことを、日本語で「三日坊主(Mikka Bozu / 3-day Monk)」と言います。

修行僧になっても、厳しい修行に耐えられず3日で還俗してしまう、という意味です。

「私、まさにそれだわ!」と思った方、安心してください。私も立派な三日坊主の常習犯です(笑)。

ジャーナリングをサボって寝てしまう日もあれば、疲れてスーパーのお惣菜で夕食を済ませる日もたくさんあります。

でも、日本の知恵には続きがあります。

「七転び八起き(Nana-korobi Ya-oki / Fall down 7 times, get up 8 times)」。

完璧に毎日続けようとしなくていいのです。

「儀式」という言葉を使うと、なんだか厳格なルールのように聞こえるかもしれませんが、私が提案したいのは「お守り(Amulet)」のような習慣です。

辛い時、疲れた時、心が荒れそうな時に、「あ、私にはあの儀式があるから大丈夫」と思える場所があること。それだけで十分です。

できなかった日を責めるのではなく、「今日は冬眠の日だったのね」と自分を許してあげる。

そしてまた気が向いた時に、キャンドルを灯せばいい。

その「緩やかさ(Imperfection)」こそが、長く続ける秘訣であり、日本的な「わびさび(Wabi-Sabi)」の精神——不完全なものの中に美しさを見出す心——にも通じます。

3. 冬があるから、春が美しい

日本には、四季の移ろいを愛でる文化がありますが、その根底にあるのは「循環(Cycle)」への信頼です。

どんなに厳しい冬も、永遠には続きません。必ず春が来ます。

私たちはそのことを知っているからこそ、寒さの中に身を置きながらも、希望を持って「待つ」ことができるのです。

日本語に「待ち遠しい(Machidooshii)」という美しい言葉があります。

単に「待つ(Wait)」のではなく、「期待に胸を膨らませて、その時が来るのを長く感じるほど楽しみに待つ」というニュアンスです。

冬の儀式は、まさに春を「待ち遠しく」するための準備期間です。

土の中で栄養を蓄えるように、温かいスープで体を満たし、ジャーナリングで心を耕す。

そうやって過ごした冬の先に来る春は、ただ漫然と過ごした時よりも、何倍も鮮やかで、喜びに満ちたものになるはずです。

冬の寒さは、春の暖かさを知るためのスパイス。

夜の暗さは、朝の光の尊さを知るための演出。

そう思うと、これから来る長い冬も、なんだか愛おしく思えてきませんか?

4. 最後に:あなたへのエール

さあ、これでもう、冬支度は完璧です。

高価なダウンジャケットよりも、強力なヒーターよりも温かい、「心の防寒具」をあなたは手に入れました。

ブログを読んでくださっている海外の主婦のみなさん。

言葉も文化も違う土地で、家族を守り、生活を営んでいるあなたは、それだけですごいことを成し遂げています。

どうか、この冬は少しだけ頑張るのをやめて、自分自身を甘やかす時間を作ってください。

「いただきます(Itadakimasu)」と感謝して温かい食事をとり、

「お疲れ様(Otsukaresama)」と自分に声をかけてお風呂に入り、

静かな夜に、自分だけの物語を紡ぐ。

日本という遠い国から、あなたの冬が、穏やかで、温かく、そして愛に満ちたものになることを、心から祈っています。

もし、あなたが試してみた「小さな儀式」や、あなたなりの冬の楽しみ方があったら、ぜひコメント欄で教えてくださいね。

世界のどこにいても、私たちは「季節」という大きな空の下でつながっています。

それでは、また次の季節にお会いしましょう。

風邪などひかれませんように。

温かくしてお過ごしください。


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